1号

□昔から変わらないな
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「勿論リハビリは辛かったさ。でも、また土門たちとサッカーがしたかったから頑張ったんだ」

そう言うと白い歯を見せて屈託なく笑った。
その顔で辛かった、何て言っても説得力無いと思うんだけど。

「でも、秋には連絡してやってもよかったんじゃないか?あいつ、ホントにおまえのこと気にかけてたんだぞ?」

そう言った途端、一之瀬の顔が不機嫌になった。

「それじゃあ土門は気にしててくれなかったのか?」

「はい?」

「秋には、って事は土門には連絡しなくてもいいって事だろ?」

…なんだそりゃ。

そういえば昔っからそう言うヤツだったっけ。
裏表が無くて、思った事ストレートに口に出しちまってさ。
それで返答に困るような事言うからたまに手に負えなくなるんだよな。

「そう言う意味じゃないって。どっちかには連絡してほしかったって事だよ」

一之瀬は納得してないって顔でオレを見ている。
まったく、アメリカンジョークが通じないヤツだな…なんちゃって。

「ま、とにかくさ。またこうして会えたんだから良しとしなきゃ…」

頬杖をつくのをやめて一之瀬を見上げたらいきなり抱き着かれた。

「そうだな!じゃあ改めて、これからもよろしくな!」

「ちょっ…!く、苦しいって…!」

一之瀬の全体重がオレの首に掛かった。
鞄の重みも相まってかなり重たい。

あまりにも苦しいから無理矢理離そうと思ったけどやめた。
嬉しさの度合いはオレも同じぐらいだし、何よりあいつの喜びの表現方法はいつもこれだから。

ちょっとはTPOをわきまえろよ、って思う時もあるけど。

「こんにちはー」

「あ、秋!」

その時、DFもビックリの素早いフェイントで、入って来た秋に一之瀬が抱き着いた。
当然驚きも相まって秋の顔が赤く染まる。
あーあ、秋のやつ運が悪かったな。

「ホント空気読めないって言うか、読まないって言うか…」

苦しがってる秋から一之瀬を引きはがす。

ホント昔っから何も変わらないな。
まあそういう一之瀬は、嫌いじゃないけどさ。


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