1号

□心の迷路で迷ったら
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「っ…!」

鬼道は何かから逃げるように跳ね起きた。
痛いくらい脈を打つ心臓を抑え、苦しそうに呼吸をする。

(夢…)

ゆっくり辺りを見回し、そこがイナズマキャラバンで、今まで自分は寝ていた事を思い出した。
周りからは静かな寝息しか聴こえてこない。

(また…あの夢か…)

鬼道は歯を食いしばり胸倉を握りしめる。
しばらく乱れた呼吸を整えた後、静かに立ち上がり外に出た。

*****

「いくで円堂!」

リカは足を後ろに振り上げパワーを溜める。

「通天閣シュートッ!!」

蹴り上げたボールは空に向かい、ゴール目掛けて一直線に向かっていく。

「来いっ!!マジン・ザ・ハンドッ!!」

円堂は左胸に手を当て気を集め、振りかぶった右手を前に突き出す。
そして魔神のようなオーラが円堂を包み、ボールを止めた。

「いいぞ、リカ!」

円堂は前線にボールを送り返す。
しかし、すぐに戻らなければいけないはずのリカがその場から動かない。

「どうかしたのか?」

「なんか今日の練習、いつもと違う気がせぇへん?」

リカは腰に手を当てフィールドを見渡す。

「なんや締まりが無いっちゅうか、イマイチ盛り上がらへんちゅうか…」

「あ、オレも思った。今日はフィールドの波が穏やかだよな」

リカの意見に綱海が乗っかり、仁王立ちのままゴール前に陣取った。
円堂が二人の後ろで試合の流れを見ようと頑張るのも気にしていない様子である。

「…分かった、鬼道や!今日は鬼道の指示が全然せぇへんからや!」

リカが手を打ち、綱海はああ、と大きく頷いた。

「鬼道か。そう言われてみると静かっていうか、他のヤツらにまで気を配る余裕ないって感じだな」

円堂も首を傾げる。

「リカ!」

すると相手ゴール前で一之瀬が叫んだ。

「ああ〜ん♪心配せんでもすぐダーリンのトコ戻るから待っといてや〜♪♪」

リカはハートマークを撒き散らし、ルンルンで一之瀬の元へ向かう。
その時、休憩のホイッスルが鳴った。


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