1号

□中一と小六の論争
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「…と、言うワケで勝負する事になったんですが、“先にへばった方が負け”ってルールで始めたものですから…」

「まったく…何やってるんだ。そんなルールじゃこうなる事は分かりきっていただろう?」

「…すみません」

豪炎寺の言葉にしゅんと小さくなる虎丸と立向居。
豪炎寺はフゥ、と長い溜め息を付くと、二人の側に寄る。

「オレたちの事を想ってくれるのは嬉しいが、それで身体を壊してたら元も子もない」

そう言ってスポーツウォーターのボトルを二人に優しく手渡した。

「すみません、でも!…でもオレ、どうしても豪炎寺さんの方が凄いんだって、立向居さんに認めさせたくて…!」

虎丸が悔しそうにボトルを握り締める。

その言い分は、そのままそっくり立向居にも当てはまる事なのだろう。
立向居は黙ったまま布団を強く握っていた。

「オレはさ、さっきも言ったけど豪炎寺はスッゲーヤツだと思ってるぜ?」

この状況をまるで気にしていないかの様に、円堂から軽い声が上がった。
円堂の言葉に虎丸からは笑みが、立向居からは驚愕の眼差しが向けられる。

「モチロン虎丸も立向居もな」

「オレたちも…ですか?」

虎丸の問い掛けに円堂は、ああ!と大きく頷いた。

「それにおまえたちだけじゃない。鬼道も、吹雪も、ヒロトも風丸も、ここに居る全員スゲーって思ってる」

円堂がバッと立ち上がった。
それを皆が目で追う。

「他のチームもスゲーヤツばっかりでさ、そんなスゲーヤツ同士がぶつかってよりスゲー方が勝つ。そのためにはチーム皆が一丸となって戦わなくちゃいけない。だからさ」

そこで言葉を一度切って勢いよく両手を広げる。

「だからチーム内で誰の方がスゲーとか、誰の方が正しいとか無いんだよ。皆が凄くて、皆が正しいんだからさ!」

一気に言い終わると白い歯を見せて満面の笑みを浮かべた。

その笑顔を見た虎丸と立向居は、お互いに顔を見合わせる。

「…立向居さん、すみませんでした。オレ、立向居さんにヒドイ事言っちゃって…」

「オレの方こそごめん。つまらない事で意地張ってたよ。言われた事が全部当たってたから、つい…」

気まずい雰囲気の中、そう言って虎丸が頭を掻いた。
立向居も申し訳なさそうに笑う。
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