1号

□中一と小六の論争
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「あー、ノド渇いたなぁ。食堂で水でももらってこよ…」

就寝時間が迫ってきた今、円堂はのそのそと階段を下りていた。
風呂上がりに牛乳瓶一本を飲み干したはずなのだが、代謝が良いのか身体が水分を欲している。

今日の夕食が随分と辛かったからかもしれない。
確か味付けは冬花だと言っていた。

「あ、円堂くん!」

その時、バタバタと秋が2階から駆け降りてきた。
驚いた円堂は反射的に壁に身体を密着させて、よける体勢を取る。

「どうしたんだ?そんなに慌ててさ」

秋が下まで降りきった所で身体を壁から離し、自分も下に降りる。
すると秋は不安げな表情で円堂を見た。

「あのね、虎丸くんと立向居くんが自主練中に倒れちゃったみたいなの」

「ええ!?た、倒れた?」

秋の口から出た言葉に、円堂は思わず大きな声を出してしまった。
それに秋は無言で頷く。

「でも久遠監督が言うにはそんなに重症じゃ無くて、軽い脱水症状を起こしてるだけだから、スポーツウォーターを飲ませれば大丈夫だって」

「そっか…よかった」

秋のそぶりを見ると、本当に大した事は無いのだろう。
円堂はひとまず胸を撫で下ろした。

「オレも二人のトコ付いて行っていいか?」

「あ、うん。二人なら豪炎寺くんの部屋の、隣の空き部屋で寝かせてるから」

「よし!そうと決まったら急ごうぜ!」

言うが速いか円堂は食堂に駆け込み、スポーツウォーターのボトルを抱えて戻って来た。
そして秋より先に2階へと向かった。


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