1号

□お互いの“あいつ”のため
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「まあおまえが何しようとオレには関係ねえ。せいぜい買い物エンジョイしてくれよ」

オレはひらひらと手を振るとあいつに背を向けて歩き出した。

「待ってくれ。おまえはこれから何処に向かうんだ?」

「あ?」

あいつはオレの腕を捕んでそう問い掛けた。
その手を払って睨みつける。

「何処に行こうとオレの勝手だろうが」

「話せないような場所に行くのか?」

「違ぇよ。おまえに言う必要が無いってだけだ」

「話せない場所に行くんだな?」

…なんてしつこい野郎なんだ。
オレの行き先がそんなにも知りたいか?
それとも変なヤツは変な事に興味がわくのか?
どっちにしろめんどくさいのには変わりない。

「…ゲーセンだよ。これで満足か?」

「ゲーセン?…ああ、ゲームセンターか」

ほらみろ。
どうせそんな反応しか出来ねえんだからいちいち聞いてくんじゃねえっての。

「オレも一緒に行かせてほしい」

「……はあぁあああッ!?」

周りの人間が一斉に振り向いた。
あいつは自分のせいだって気付いてないのか、オレの声に呆気に取られている。

「ふざけんな!何が悲しくておまえと仲良く歩かなきゃいけねえんだよ!?」

「別に仲良く歩く必要は無い。ゲームセンターの場所まで連れていってほしいだけだ」

「一人で行けよ!ガキじゃねえんだし!」

「そうはいかない。春奈が欲しがっているぬいぐるみがゲームセンターの景品らしくてな。見つけてやりたいがオレにはゲームセンターの場所が分からない。だから丁度おまえが行くなら付いていけば場所も分かるし、ぬいぐるみも見つける事が出来る」

…なるほどな。
やけに突っ掛かって来ると思ったら可愛い可愛い妹ちゃんの為か。

まぁ考えてみればこいつがそれ以外でオレとゲーセン行くなんて思わねえか。

ここで突き放すのは簡単だ。
だけどそうすると後々もっとめんどくさい事になるのは分かりきっている。

仕方ねえな…。

「付いて来たきゃ勝手にしな」

「…!ああ。そうさせてもらおう」

あいつから嬉しそうな声が出た。
ホント、バカ親ならぬバカ兄貴だぜ。


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