1号

□昔から変わらないな
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雷門中に下校時間のチャイムが鳴り響いた。
校舎の出入口から一斉に生徒が飛び出して来る。
部活があるヤツは部室へ、用がないヤツはまっすぐうちへ帰っていく。

オレはと言うと、部室へ向かう組だ。
これでも一応サッカー部に所属してるんでね。

「ちーっす」

適当に挨拶を済ます。
別にナメてかかってる訳じゃなくて、今日は授業が早く終わったから誰も居ないと踏んでの行動だ。

「あ、土門!」

当てが外れ、思いがけず声が返ってきた。

「一之瀬か。早いな」

後ろ手で扉を閉めて一之瀬の顔を見る。
一之瀬は肩に鞄を掛けたまま椅子に腰掛けていた。

「最後の授業自習だったんだ。それより見てよ、今朝やっと制服届いたんだよ!」

鞄置いたら?って言おうとしたのに上からお構いなしで言葉を被せてきた。
オレの気持ちも気にしないで、一之瀬は手を広げて嬉しそうに制服を見せ付ける。

確かにあっちのスクールじゃ私服登校だったから制服が新鮮なのは分かるけど、そこまで嬉しがってくれたらきっと制服も本望だと思うよ。

「良かったじゃないか。これで一之瀬も晴れて雷門中の一員、って訳だ」

オレは鞄を床に置いて一之瀬の反対側に座った。

「ああ、これでまた秋や土門たちと一緒のところでサッカーが出来る。こんなの夢みたいだよ!」

「その言葉そのまま返すよ。オレも秋も、おまえが死んじまったって疑わなかったんだからな?」

頬杖をついて一之瀬から目線を外す。
そういや土門は手足が長いから頬杖つきにくそうだな、って一之瀬に変な気遣いされたことあったっけ。

「でも事故の直後は、リハビリしても二度とサッカーは出来ないって言われたんだ。オレからサッカーを取ったら死んでるも同じだよ」

「だから死んじまった事にしたってか?相変わらず無茶なこと考えるよな、おまえ」

一之瀬が笑いながら話すもんだから、結構深刻な話のはずなのにオレもつられて笑う。
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