1号

□夜の疾走ネオンランプ
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コンコンッ!

夕食も終わり、久遠監督から課された勉強を嫌々こなしていた時、部屋にノックの音が響いた。

「ん?誰だ?」

「円堂くん、わたしだけど」

「秋?」

驚いて扉を開ける。
秋は部屋の中を覗くなりため息をついた。

「円堂くんの部屋でもないみたいだね…」

「いきなりどうしたんだよ?何かあったのか?」

「実は…」

秋は耳打ちするように話し始めた。

「ええ!?綱海がいなくなった!?」

廊下中に響く円堂の声。
秋は無言で頷く。

「壁山くんがトイレに行こうと思って外に出たら、綱海くんの部屋の扉が開いてて誰もいなかったんだって。始めは綱海くんもトイレだろうって疑わなかったらしいんだけど…」

「他の場所は捜したのか?別の階のトイレとかさ」

「今豪炎寺くんと鬼道くんが捜してくれて…」

その時タイミングを見計らったように秋の携帯が振動する。

「鬼道くん?どうだった?」

『ダメだ。一応春奈に女子の方も見てもらったんだが…』

「そっか…」

残念そうに眉尻を下げる秋。
すると豪炎寺が駆けてきた。

「やっぱりダメ?」

秋の問い掛けに豪炎寺はああ、と短く頷いた。

「どうなってるんだ?まさか黙ってどこかに行ったんじゃ…」

円堂は腕組みをして唸る。
秋も豪炎寺も黙ってしまった。

「…よし、町に捜しに行こう」

「え?」

しばらくした後、円堂が口を開いた。

「校舎内にいないんだったらどこか外にいるって事だろ?だったら捜しに行くしかないじゃないか」

「ちょ、ちょっと待って。それは久遠監督の監視の目をかいくぐって行くって事?」

「そうだけど?」

キョトンとする円堂に秋はため息をつき、豪炎寺は頭を抱える。

「外出禁止令が出た時にあんなに頑張っても阻止されたんだろ?今回も多分お見通しだと思うぞ」

「…でも!何にも言わないまま仲間がいなくなるのはもう嫌なんだよ!」

円堂は眉をしかめ強く拳を握り締める。

「せめて…せめて離れる理由を聞きたいんだ。オレたちの何がいけなかったのか知りたいんだよ…」

そこまで言って寂しそうに顔を伏せた。
秋は次の言葉を探しそうと目を泳がせ、豪炎寺も気まずそう下を向く。

「…皆を集めてくる」

しばらくの沈黙の後、豪炎寺がボソッと呟き階段に向かった。
それを聞いた円堂の顔がみるみる明るくなっていく。

「…ありがとう!オレも下に声かけに行くよ!」

言うが速いか円堂は階段を駆け降りて行った。


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