1号

□DRAGON of SIGNAL
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ピイィイイイイイッッッ!!!

ホイッスルが鳴った。
試合終了を、そしてオレたちがエイリア学園の生徒として闘う最後を告げる音が鳴り響く。

…負けたのか、このオレたちが。

「ああ…。だが不思議と悔いはないね」

ガゼルが前髪の汗を払って、円堂守の方を向いた。

「バーン…ガゼル…」

「円堂守。キミが気に病むことはない。お互いに全力でぶつかり合った結果なんだ。これで踏ん切りも付くと言うもの」

円堂守の同情じみた声に被せるようにガゼルが言う。
相変わらずの気取った態度の上から目線だな。

「ヘッ…これでオレたちには何にも無くなっちまったな。だが空っぽになって何かスッキリした気がするぜ」

言いながら思わずあいつらから顔を背けちまった。

実際に言葉を口に出してから分かったが、悔しい時に負けた相手に面と向かって話すなんて出来ない。
ガゼルは気丈だ。

「空っぽなんかじゃないぞ!おまえたちのハートにはちゃんとサッカーが大好きだって気持ちが残っているはずだ!」

「はァ?」

…こいつは、円堂守はきっと誰にでもこうなんだろうな。
こいつの前では敵だろうが味方だろうが、そんな言葉は意味を成さないんだ。
誰かとサッカーが出来ればそれで良いってワケか。

「それにおまえらにはまだチームの仲間がいるじゃないか。仲間がいて、サッカーが大好きだって気持ちがあればサッカーは裏切らない!きっとこれからは、今までよりもっともっと楽しいサッカーができるぞ!」

うっとうしいくらい眩しい顔で笑う円堂守。
その笑顔にフッとガゼルが笑みを零した。

「楽しいサッカーか…そうだね。わたしも何だか分かり始めた気がするな。グランがキミに惹かれたのはこういうワケだったのか」

どうやらガゼルもオレと同じ事を感じたみたいだな。
円堂守のエイリア石に匹敵する不思議な引力を。

「おい、おめーら行くぞ…!」

「お、おいどこへ行くんだ!」

円堂守の制止も聞かずオレとガゼルはあいつに背を向けて歩き出す。

「雷門イレブン。キミたちとはまたどこかで会うこともあるだろう」

「そん時こそオレたちがおまえらをぶっつぶす!それまでやられんじゃねーぞ!」

これじゃまるで捨て台詞だな。
まぁ、いいか。

「次に会う時は心の底から楽しいサッカーしようぜ!」

円堂守が大袈裟に手を振っている。
それに応えるようにオレは反射的に拳を突き上げてしまった。

…何柄でもねえ事やってんだオレは。


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