蒼の短編集
□7:30
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AM7:30 弓道場
「腹減った…」
「フフフ…それじゃあ朝ご飯にしましょうか」
今日も朝練を終えた俺は早速アイツの作った弁当を食べる。弓道場には二人だけ。うちの部活はユルいため、朝練に来る物好きなんて俺たちしかいない。
「いつも悪いな」
「気にしないで。いつも付き合ってもらっているお礼よ」
俺は朝に弱い。本来ならこんな時間に学校に来る人間ではない。朝飯などもちろん食って来れない。それでも毎日欠かさず朝練に来ているのは…
「この瞬間が人生で一番落ち着くんだよなぁ」
この時が毎日の一番の楽しみだからだ。
別に彼女は俺の彼女でも何でもない。ただのお友達。たまたま部活見学で出会い、たまたまお互い弓道にハマり、たまたまウマが合っただけ。ただ、それだけのことだ。
PM7:30 弓道場
残っているのは二人だけ。すでに部活の時間は終わっており、自主練をするような真面目な部員もこの時間には残っていない。
「的が見えなくなってきたな」
「それもそうね。それじゃあ片付けましょうか」
俺たちはさっさと片付けて汗を流す。
「覗かないでよ」
「誰がお前なんぞ覗くかよ」
いつもの会話。この瞬間に終わったと実感する。
これが俺の日常。毎日続くはずの一番の幸せ