Did you sleep well?

□本日は晴天也
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「おめでとう御座います。元気な男の子ですよ」


「おぎゃあ」


やっと声が出た。
しかし思っていた以上に俺の声は高く、不可思議な音しか出せない。
開きそうで開かない目をやっと細めて見えたのは、見た事のない二人の男女。
女は嬉しそうに俺を見下ろし抱き寄せて、一言「貴方の名前はベジータよ」と言った。
嗚呼、そうだ。
俺は閻魔に輪廻を頼んだのだ。
もうあの場に居るのは飽きたからと。
しかし、どうやら記憶まで連れてきたらしい。
一体何を考えてやがる。



(ならばもう一つ、お前に試練をやろう)



これがその試練か?






******






「ご入学おめでとう御座います!」


何もかもが目まぐるしく過ぎた輪廻から15年が経った。
新しい…という言い方が果たして適切かどうかは分からないが、父も母もいい人間だ。
息子という役を演じているつもりはないが、それでも家族としての時間はあの頃とはまた違う楽しさがあった。
この生まれてきた同じ地球は平和で、あの頃の面影は微塵もない。
あれからどの程度の時間が経って転生したかは分からないが、それでも戦争は相変わらず続いているようだ。
やはりどの時代にも下らない諍(いさか)いはあるのかと溜め息を吐く。


「(まぁ俺は、あの時それでも必死だったがな)」



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