Dream ]V

□幸せの理由が僕でありたいなんて
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可笑しな奴だ。
どんな言葉を吐き捨てようとも、奴は嫌な顔一つせずに笑っていた。
こう見えても元は人間で、今も殆ど変わっちゃいないけど。
だからそれなりに、悪い事をしたなという自覚も多少はあるけど。
でもアタシは、そんな眩しさに慣れてない。
優しくされてほだされて。
その先にあるのは、もしかしたら今以上の絶望かもしれない。
これ以上の絶望なんて、正直何も怖くなんてないんだ。
だから奴の手を取って、とことんアンタに付いてってやるよって。
そんな人生も悪くはないとも思ってるけど。
でも、そうしたらアタシは全てに負けてしまいそうで。
何よりも自分に負けてしまいそうで。
そうなったら、きっとアタシは立ち直れない。


「(だからアタシは一人でいい)」






******






今日の空は、とても良く晴れていた。
入道雲が出ていて、少しだけ湿気があるけど。
今日は何処の空へ飛んでいこうか。
またフラフラと飛んでいると、見覚えのある影が近付いてくる。
またか、と小さな溜め息を一つ。
そろそろアタシも相手にするのに疲れてきた。



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