Dream ]V
□すきになってごめんね
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病む身体に容赦なく刺さる冷たい風。
ぶるりと身体を震わせながら、目的の煙草を取り出し各々火を点けた。
吐き出す紫煙はもくもくとグレーの空へ吸い込まれ、その先を虚ろげに見送っている金色の髪の男。
慣れない左手をグレーに翳しながら、一度ぐっと拳を作ってみせる。
「なぁ、龍司」
「何や」
「俺は神室町を出ようと思う」
「………………」
「薫は刑事だ。堅気になったからと言っても、所詮極道は極道でしかねぇ」
「…ほうか。ま、薫なら分かってくれんのとちゃうか。ワシに似て出来た女やさかいな」
くつくつと喉奥で笑う度に、金色の髪がふわりと揺れた。
それを何処か安堵したように見詰める男は、質量の持たぬ右の袖を引く。
うおっ、と拍子抜けしたような声を上げてよろける男。
何やねんいきなし。
そう怪訝そうに見下ろす金色の髪を撫でながら、心底愛おし気に見上げた。
「お前も来い、龍司」
「何を言うてんねん」
「責任を取らせろって言ってんだ」
「そんなん要らん世話や。何や同情しとるんかいな、腹立つわ」
「そんなんじゃねぇ。俺が欲しいと思っただけだ」
「………あんた、その意味分かっとるんか」
「当たり前だ。ガキじゃねぇよ」