Dream ]V
□キス一回で許してやる
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「はー…ごっつ暑かった」
「俺はあのままで良かったんだがなぁ…。何だか上手く言いくるめられた気がするぜ」
「気のせいや気のせい。にしても、お互い手ぇも汗でべったべたやな」
「厭らしいな」
「何処をどう取ったらそないな結論になるんや。一片頭ん中診てもらいや、自分」
そうワシが言うても、こいつは楽しそうに笑てるだけや。
何が楽しいんかよう分からん。
いい歳したおっさん二人が、汗でべったべたの手ぇ握って喋くりよるだけやないか。
…まぁ、あん時はゆっくり喋っとる暇もなかったし、此処は大人しゅうしといたろ。
「前から思ってたんだが」
「何や」
「お前、俺の何処が好きなんだ?」
「………………そうや、此処に病院を建てたろ」
「それは困るな。この土地は誰にも譲らねぇ」
「うっさいわ。何でそんなん聞くんじゃ」
「聞きたいからに決まってるだろ」
「…せやったら、あんたは何でワシにそんなん思うとるんや。それ聞いたら答えたるわ」
「そうだな…」
あかん質問してしもうた。
桐生の事やからくそ真面目に答えるつもりやろ。
そんなん敵んと思て、話題を変えようとした時やった。
握っとる手ぇをぐっと引かれて、身体がぐらりと揺れた。
何すんねん。
そう言うてやろうとしたら、すぐ目の前に桐生の顔が見えて慌てて顔を背けようとしたんや。
けど頭押さえ付けられて、そんまま温かい感触が唇に当たる。