Dream ]V
□キス一回で許してやる
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「何やねん。暑いんじゃ」
「嫌だって言ったろ」
「せやったら何か?ワシが溶けてもうてもええんやな?」
「安心しろ。溶けたらちゃんとかき集めてやる」
「ワシが言いたいんはそういうんやないんや…。何で伝わらへんねん…」
「伝わってるぞ。お前の多大なる愛は」
「………死にたい」
「何!?それは駄目だ!!」
何を言うても伝わる気配すらない。
ほんまこいつの頭ん中どうなってんねん。
ワシかて会えたんは嬉しいし、ゆっくり話もしたいと思うてる。
話すだけならこないにひっつく必要もないやんか。
手ぇぐらい握らしたるし、その方が今よりずっとマシや。
「よっしゃ、ほんなら手ぇ繋ごか」
「手?」
「せや。あんたはワシ逃がしたないんやろ?手ぇ繋がれとったら、ワシ逃げられへんなー。そんなん困るなー」
「…フフ、そこまで言うならそうしようじゃねぇか」
「(アホで助かったわ)」
漸く背中にあった暑苦しい塊が離れた。
シャツがべったり汗で張り付いて、そらもう気持ち悪ぅてしゃあない。
こないなとこに顔押し付けとったんかいな。
物好きのする事はよう分からん。