Dream ]V

□キス一回で許してやる
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「………………」


「………………」


「………っ!!」


「!!…痛ぇな。殴る事ねぇだろ」


「…うっさい。何やねん…何でそんなんすんねん…」


思わず手ぇが出てしもうた。
顔が熱くて熱くて上げられへん。
足を抱えて溜め息を一つ。
こいつどんな顔してんねやろと思て、ちらっと顔を覗き見てやった。
結構強ぉ殴ってしもうたし、もしかしたら怒ってんのとちゃうやろか。
そう思っとったんや。
せやけど桐生は、笑いながらワシんとこじっと見とった。


「俺はな、龍司」


「………………」


「お前のそういう所が好きだ。素直じゃねぇし、照れ隠しに手上げるし、口は悪い」


「………………」


「でもよ、そういう奴程顔に出てんだよ」


「………は?」


「隠してるつもりでもな、全部分かってんだ。……恥ずかしい思いさせて悪かったな」


「………何や…ワシが悪者みたいやないか…」


そんなん言われたら、何も言い返せへんやないか。
顔に出てるて、ワシ今までどんな顔しとったんや。
ワシが桐生をアホや何や言うてるみたいに、桐生にもワシはそう見えとったんか。
そんなワシを好きや何や言うて、今まで引っ付いてたんかいな。

……あかん。
もう何や色々あかん。
恥ずかしいんやら嬉しいんやら、どうにかなってまいそうや。



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