マリオ長編

□スーパーペーパールイージ(第一章)
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「ピンポーン」

何のことはない、ただのベル音だった。
双子の兄のマリオから留守番を頼まれていたルイージは、玄関へとかけていった。

「はーい」

いそいそとドアを開く。
来訪者が来るのは久しぶりで、ルイージは内心うきうきしていた。

「ボンジュール、ルイルイくん♪」

ガチャン。
ルイージは開いたドアを無言で閉め・・・られなかった。
ドア越しの相手の手が、今にも閉まりそうなドアを無理やりこじ開けていたからである。

「何で閉めるのさ〜!まだなにも・・・」
「入れるか!」

全身の力をドアノブを握る手に込める。

しばらくの間、妙な戦いが続いていたが、突然ドアを開けようとする力が消え、ルイージの体は慣性の法則にしたがって倒れた。
もとい、しりもちをついたのである。

「いてて・・・」

尻を強打し、涙目になっているルイージに手が差し伸べられた。

「あ、どうも」

その手をつかみ、立ち上が・・・
ルイージは、違和感に気がついた。

現在、兄は留守だ。
となるとこの家の中にいるのはルイージ一人のはず。
じゃあこの手は何?と、ルイージが顔を上げると。

「礼には及ばないよ♪ムッシュ・ルイージw」
「ぎゃああああああああああああああっ!」

さっきまでドアの押し合いをしていた人物の顔があった。

「ななな・・・なんで家の中にいるんだよ〜、ディメーン!」

ディメーン。
かつてルイージに強烈なトラウマを植え付けた男。
彼の名(迷?)言は、今でもルイージの心に根深く残っている。

「で、出て行ってよ!もうお前なんかに捕まらないからね!」
「ノンノン」

ディメーンが、ちっちと指を振った。

「もう僕にそこまでの力はないよ〜」

コントンのラブパワーも消えちゃったしね、と付け加える。
なおも疑う目で自分を見るルイージにかまわず、ディメーンは続けた。

「それに。僕は敵じゃない」
「・・・どういうこと?」

ルイージが訊ねると、ディメーンはんっふっふと笑った。
そして、両手を掲げて二人の周囲に四角い空間を作り出す。

「行ってみれば、わかるさ!」

パアンと短い破裂音をたて、空間もろとも二人の姿は掻き消えた。
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