マリオ短編
□トランプ(ディメルイ)
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「またボクの勝ちだね〜♪」
完璧な役だった。
ルイージははぁとため息を漏らし、カードを片付ける。
「やっぱり何回やっても君には勝てないね
」
ルイージが少しだけ恨めしそうに呟くと、いまだにニヤニヤ笑いを浮かべているディメーンが言った。
「そうかい?」
偶然だよ、偶然と呟き、再びカードを切り出した。
「またポーカー?」
「ボクに勝ちたいんだろ?」
たまにはほかのゲームがしたいな、とルイージは思った。
ディメーンが自宅に遊びに来るようになってから、一人きりで退屈をすることはなくなったが、いつもポーカーで負けている気がする。
「ポーカーの楽しみ方を教えてあげる」
ディメーンはカードを切りながら言った。
「ボクがディーラーでいいかい?」
「うん」
切り終わったカードを一定数配り、二人はポーカーを開始した。
序盤はなかなかいい勝負だったが、中盤にさしかかり、ルイージの調子が崩れだしてきた。
「あ・・・あれ?」
ディメーンが、予想と大幅に外れた役を作ってくるのだ。
また、困った表情を浮かべながら強い役を出してくる。
「んっふっふ〜♪
ルイルイくん。ポーカーは相手をだましてもいいゲームって知ってるよね?」
正直に表情なんか浮かべちゃった日にゃ、いいカモだよ、とディメーンは続けた。
そしてカードを持つ手を止める。
「君は正直に表情を浮かべすぎなんだ」
「うぐっ・・・」
正論だった。
「ボ、ボクだって嘘の表情くらい・・!」
「やってみなよ♪いい練習さ」
もう後には引けない。
ルイージは仕方なく、怒ったような表情を浮かべた。
「ど、どう?」
ルイージが言った直後の出来事だった。
ルイージの唇に、ディメーンの唇が触れる。
理解するのに時間がかかった。
・・・キスされたのだ、ディメーンに。
「うわああああああああ?!」
「んっふっふ〜♪まだまだだね、それじゃボクには勝てないよ〜♪」
拳骨が振り下ろされる音がした。