マリオ短編
□みがわり。(ルイージ+ミスターL)
1ページ/4ページ
激痛が走ったかと思えば、目の前が真っ白に染め上げられて
彼は、意識の深遠に堕ちた。
何者かの呼ぶ声がして、ルイージはまだ焦点の合わない視線を移動した。
しかし真緑の世界に自分以外の存在は確認できず、彼は軽く首を傾げた。
途端に、眩暈と痛みが肉体を支配する。
「っ…!?」
出所のわからないその痛みは、歪む視界とともにルイージの全身を駆け巡る。
あまりの苦痛に飛びそうになる意識を必死で保ちながら、鋼のように重く、殆ど言うことを聞かない体を動かした。
「…い」
漸く、ある程度体が動かせるくらいまで来たところで、彼はまた何者かの声を聞いた。
「おい」
自分によく似た声質の、男の声だった。
「だあれ?」
ルイージは何の警戒をするでもなく、声に尋ねる。
「…お前だ」
「え?」
不可思議な回答に疑問を感じ、ルイージは少しだけ怪訝な表情を浮かべた。
自分は、今ここにいるのだから。
「信じてねえな」
少しだけ、ほんの少しだけ苛立ちを孕んだ声。
「じゃあ、その目玉で確認しな」