マリオ短編
□嘘(ディメルイ)
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それは、何時ものティータイム。
「ねえ、ルイルイくん。僕、死ぬかも」
突然、何の脈絡なく発せられたディメーンの一言に、ルイージは驚きを隠せずに振り向いた。
「どうして!?」
慌てて問い返す。
その瞳はいつになく真剣な光が宿っていた。
ディメーンはクックックと笑いを堪え切れなかった。
「嘘だよ♪んっふっふ…」
「はあ!?」
心配して損した、とでも言うように、ルイージはむくれて明後日の方角へ顔を向ける。
「おや、ジョークはお気に召さなかったかい」
ディメーンはカップを摘み上げると、紅茶を一口含み、ほう、とため息を吐いた。
ため息の数秒後に、ルイージはようやく口を開いた。
「…て、君が…」
「ん?聞こえないよ」
そう言ってやると、ルイージは渋々声のボリュームを上げる。
「だって、君が、死ぬかもしれないなんて、言うから…僕…っ」
どうやら怒らせただけでなく、泣かせてしまったらしい。
こればかりは流石のディメーンも焦り、慌ててルイージに向き直った。
「ごめんよ!泣かせるつもりなんて…」
満を辞したように、ルイージが振り向く。
「嘘だよ♪」
その顔には、涙など一滴もなく、ただしたり顔の笑みのみが存在していた。
(やられた)