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【暑さに負けずに】
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「ほい、茶と…大したもんあれへんかったけどお菓子」
「す、スミマセンっ!自分みたいな羽虫に気をつかって頂いて!本当スミマセン!」


夏休み真っ只中の8月某日。
本日は部活も休みという事で、桜井はバスケ部の先輩にして主将、そしてまた恋人である今吉の家に来ていた。


「どーや?宿題捗っとるか?」
「は、はい後少しで終わりそうです!スイマセン!!わざわざ休日にお邪魔してしまって…っ!!」
「構へん構へん。どーせ暇しとったとこやし。それに礼に晩飯作ってくれんねやろ?楽しみやわ」
「う゛…ご、ご期待に添えるよう頑張りますっ」


長期休暇である夏休みに出される宿題の量は半端ない。
7月の初期段階に済ませてしまう者もいれば、少しずつ計画的に済ませてしまう者、最終日に慌てる者、2学期(後期)が始まっても『提出日までに出せば良いや〜』と のらりくらりとする者…人それぞれである。

桜井はどちらかと言えばコツコツと計画的に進めるタイプだが、如何せんバスケ部の練習はハードだ。
基本朝から晩まで練習を熟し、帰る頃にはヘトヘト。
家に着けばご飯を食べて風呂に入って就寝、朝目覚めてまた部活…そんな繰り返しのため、桜井にしては珍しく宿題を溜め込んでしまっていた。

苦手科目もあり、中々宿題を終えられず半泣きだった桜井に『ほなワシが教えたるさかいに、今度の休みウチ来ぃや』と言って手を差し延べたのが今吉だ。


「桜井は元々賢いからなぁ。直ぐでける思たわ」
「そ、そんな!自分なんか全然…スイマセンっ」
「…あとはその謝り癖どないかせんとな」
「す、スイマセン…」

言ったそばから口癖の『スイマセン』を呟きながら、俯く。
その姿に溜息をつきつつ、今吉は桜井を脚で挟むようにして後ろに腰を下ろす。

「もう『スイマセン』はエエから…ほれ!はよ今日やる分の宿題済ませてまい」
「は、はいっ」


カリカリ…とシャーペンを走らせる音と時折解き方を調べているのか、教科書のページをめくる音がする。
それらの動作を桜井の後ろから静かに眺めていた今吉だが、後輩の問題を解く手が止まったので暫くぶりに声を発した。

「どないした?」
「え、あ…この問題が、ちょっと解らなくて…うう、バカでスイマセンっ」
「気にせんでエエて。どれどれ…」

肩口から少し乗り出し、桜井からシャーペンを借りて解き方のヒントを書きながら説明していく。
桜井が頭を悩ませていた応用問題も3年生である今吉からすれば何て事はない。


「…っちゅー事になるワケや。解ったか?」
「あ、は、はいっありがとうございます!成る程…すっごく解りやすいです!」
「せやろ〜?その調子でバンバン解いてき」
「はいっ」


再び手を動かし、宿題と向き合う桜井。
若干俯き加減のため、髪がサラリと垂れ、彼の白い首筋が露となる。
当然、それは今吉の目にモロに晒されるわけで……


「……………っ(アカンアカン…クラッとしてしもた)」


長身ながらに童顔(まぁ、まだ高校一年生なのだから幼くても不思議ではないが)、照れ屋で鈍い恋人に悪戯心が疼いた。

「………………。」
「………………。」

桜井はノートに目をやっている為に今吉の様子に気付く事はない。
それをいい事に、今吉は行動に出た。



ぺろっ



「ひ、ぃあ…っ!?い、今吉サン!?」
「あー…やっぱちょぉ しょっぱいな」
「〜〜な、にし…ァッ」


頼りなく儚気な首筋に舌を這わせ、手はスルスルとシャツの中へ侵入する。

「あっ、ン…」
「桜井〜手ぇ止まっとんで?ちゃんと宿題せんと」
「ぅ……は、い」

決定的なものは与えない、なんとも微妙且つ絶妙な刺激に桜井の身体もシャーペンを握る手も震える。
それでも懸命にノートに式を書こうとするが、そんな手で文字が書けるわけもなく蚯蚓ののたくった様なウネウネとした線になるだけだ。


「…ぁああっ」


身体を這う今吉の掌が胸の小さな粒を掠めた瞬間、今までで一番大きく反応を示した。
快楽に犯され、主張するそこをコリコリと指で弄ると、桜井は手に持っていたシャーペンを取り落とし、それがコロッ…と開かれたノートの上を転がる。


「っは、…ヤッ、いまよしさ…っ」
「なんや?桜井」

依然、首筋に吸い付きつつ応える。
桜井の首筋は今吉の唾液にヌラヌラと光っている。

「ぁ、の……」

モジモジと膝をすり合わせる。
桜井が何を望んでいるかなど、今吉には全てお見通しだった。
だがそこで望みを叶えてやる程、この男は優しくはない。

「言わなわからへんで?」
「っそ、んな…」
「ちゃんと言うてみ?」

耳たぶを食みつつ、桜井が履くジーンズのチャックをジィー…と下ろす。

「し、下も触っ…くださ…!」
「…ええよ」


緩まったジーンズと下着の中へ手を忍ばせ、上半身への愛撫だけで既に硬く反応している桜井自身を握る。

「あぁっ、イ、んァ…ッ」

待ち望んだ下半身への刺激に、細い腰が戦慄く。
淫液を零す先端にグリグリと指の腹で擦るとヌルリ…と糸を引く。

「桜井はヤラシイ子やなぁ、宿題中やのにココこんなにして」
「あっあっアッ、だ…、て」

首を捻り、後ろを振り向いて今吉を見遣る桜井だが、その潤んだ瞳で見られた方は堪ったものじゃない。


「…っ」
「ひゃっ!あ、ぁああんっ」


桜井にそんなつもりは一切なかったのだろうが、先程の視線にすっかり煽られた今吉は扱く手を早め、彼の艶っぽい唇に自身のソレを重ねた。


「ふ、んむぅ…」
「は、…さくらぃ」
「ぁんっ、も…イっちゃ…今吉さ…っ!」


“もう限界”だと桜井は訴える。
それに対し、今吉は…

「ええよ、イき」


普段よりも低い【男】の声で耳元で囁き、小さく拓いた先端に爪を立てた。


「あ、ぁあぁぁあーーっ」


それが決め手となり、桜井は背をしならせ、今吉の手の中に白濁を放った。


「はぁ、はっ、ァ…」
「相変わらず濃いのぉ…ちゃんと自分でもせなアカンて言うたやろ?」

桜井のモノで濡れた手をティッシュで拭きながらからかう様に言う今吉に、桜井の白い頬がより一層紅く染まる。

「ぅ、すみませ…」
「まぁエエわ…ほな桜井、問題解いてこか」
「え…?」
「風呂いくか、宿題片してまうか…ワシの相手もしてくれるか」


『どれが正解か、わかるな?』

桜井の髪に、額に蟀谷に瞼に…キスの雨を降らせながら問題を出す今吉に、彼の子羊は湯気が出そうな程顔を真っ赤にさせながら蚊の鳴くような声で答えを呟いた。


「―――――い…」
「…上出来や」


見事正解した桜井に、今吉は満足そうに口付けた――…。






◆◆◆

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