記念・企画Novel

□【オレ専用サンタ】
1ページ/1ページ






「なー宮地。25日のクリスマス空いてるか?皆で飲みに行こうっつってんだけどさ」





講義終わり、帰ろうとしていたら同じサークルのダチから誘いを受ける。

「あー…ワリィけど予定あっから」
「だよなー…あ゛ー!!このイケメン爽やかBOYがっ!!女紹介しろっ」
「ハイハイ、また今度〜」
「クソ〜〜!リア充爆発しろぉっ!!」
「ははっ、してたまるかっつの!んじゃなー」
「あっ、今度は来いよ!?お前来ると女子の参加率パネェんだからなっ!」
「リョーカイ。考えといてやるよ」

と、軽くその誘いを断り帰路につく。

予定があんのはホントだけど、奴の言葉を訂正するなら、相手は『女』ではなく『男』であるという事だ。


高校からの付き合い、大坪と―…



クリスマスはやっぱり恋人と過ごしたい。

そう想うのは当然の事だろ?

だからオレは数日前から恋人である大坪に「クリスマスは何が何でも空けとけよ!!」って言っといた。

大坪の事だからちゃんと予定を空けてあるだろう。

でも、オレが言わなかったら…?

大坪にも付き合いがあるのは分かっているから、オレより先に誘った奴が居たらそいつを先約として選ぶんだろう。
恋人であるオレじゃなくて。

だから、というワケじゃないけど、何となく試してみたくなった。
本当に大坪はオレを思ってくれているのかどうか…。



プルルル…プルルル…
プルルル…プルッ、ピッ


『宮地?どうした?』
「あ、大坪?…あのさぁ、すっげぇワリィんだけど、25日急遽バイト入っちゃった…。やっぱクリスマスで人が足んねーらしくってさ…」


さぁ、どう返してくる?



『……そうか、なら仕方ねぇな』



やっぱり、か…



「……そんだけ?」
「?…何がだ?」
「…んーん、何でもない。じゃあ切るわ。…マジごめん」
「あぁ」


プツッ…ツーツーツー…


用件だけ話して直ぐに電話を切る。
だいたい大坪は理解が良すぎる。
それは良い事だが、時には怒って欲しいっつーか…妬いて欲しいっつーか…。
まぁ予想はしてたけど、さ。

やっぱりちょっと…


寂しかった―……











クリスマス当日。


ホントなら今頃は大坪と過ごしていたのに。

大学に入って一人暮らしを始めたオレは当然今、家に一人きり。
初めは、飲みに誘ってくれたダチに連絡しようかとも思ったけど、何だか気がノらなくて結局この空間でダラダラと過ごす。

…ものすごく暇だ。

こんな事ならつまんねー意地張んなきゃよかった…


と、後悔の念に駆られながらソファに横になっていると、窓からの暖かい陽射しのせいで段々と眠気に襲われ、オレはそのまま身を任せた…









ピンポーン…ピンポーン……

家の中にチャイムの音が響きそれに起こされる。

どれくらい時間が経ったんだろう?
陽射しがなくなり、電気を点けていない家の中が真っ暗になっている事から、すっかり日は沈んでいるんだろう。
どうやら結構眠ってたみたいだ。


ピンポーン…


外に反応を返さなかったため、再度チャイム音が響く。

「ったく、しつけーな…。ハーイハイ!今開けます、よっ!!…っと、ぇ」


ガチャッと扉を開き来客の姿を確認する。
間違うはずのない見慣れた相手…


チャイムを鳴らしていたのは


大坪だった―…



「お、つぼ…?なん、で…?」
「『何で』じゃないだろう。お前がバイトだっつーから迎えに行ったのに居やしねぇ。店員に聞いたら『今日はシフト入ってない』って言うじゃねぇか。…どういう事だ?」
「……。」


何も言えない。
嘘をついたのも、大坪の気持ちを信用しきれなかったのも悪いとは思……わなくもないけど、バカな事してんなっとも思うけど、謝りたくはなかった。

この際だし言わせてもらおうかな。


「だっ、て…」
「……。」
「だって…いつも誘うのオレからじゃん。デートも、イベント事も……だから、大坪はホントにオレの事好きなのか…分か、…なくて。無理に付き合ってんのかな、って。クリスマスだってオレから空けとけっつったし。…だから、オレが駄目になったら何か言ってくれっかな…って。一緒に居られないの残念がってくれっかな?って思って」
「………。」
「……。」


「オレは…





…お前以外の奴とクリスマスを過ごすつもりはない」

「え…?」
「ちゃんと…というのも変だが、オレはお前が好きだぞ」
「…っ」

普段は中々言ってくれない『好き』という二文字

嘘でも同情でもなく
本心からの言葉


それを今日という日に聞けたというのが嬉しくて…


「(ヤバッ、泣きそう)」


そう思った時に、強い力で引っ張られ大坪の腕に納まる。


「っおぉ、つぼ!?」
「泣きそうな面するな」
「っしてねぇ!!」
「……不安にさせて、すまなかった」
「…っ」
「だがオレは、好きでもない奴と年単位で付き合える程器用じゃねーよ」
「…………知ってる」


…バカだな、オレ。
そんなのとっくに知ってたつもりだったのに。
だって、大坪を一番傍で見てきたのはオレだから。



暫く玄関先でそうして抱き合っていたが、如何せん今は12月下旬…


「…あったかいけど寒い」
「どっちなんだ…まぁ、そろそろ家に入れてくんねぇか?オレも寒い」
「ん。…ねぇ、大坪〜オレ、温かいミルクティー飲みたい」
「…そう言うと思って茶葉とミルクとハチミツ買ってきた。あと適当な食材とケーキもな。どーせ飯食ってねぇんだろ?」
「さっすが大坪!!よく分かったなっ」
「高校からの付き合いだし…お前の彼氏だからな」
「!……もぉ…それも知ってる」


二人で家へ入り
パタンと扉を閉める


こっからは二人だけの世界…



邪魔ものサンタは来ないでね



オレにアンタは必要ないから―…





◆◆◆




バイトさせるためだけの大学生設定でした^^;

しかし大坪さんの口調わかりません。
そして私は宮地をどうしたいのか?
もう女々しい子イメージ大爆発ですよね;;

「刺す」とか「轢く」とか物騒な感じといい、何か…怒らせると怖い女みたいです←

これを書いているのがイヴです。
あぁああ…あといくつ書けるかしら?;;

まぁ、普通の文と変わらないので、普通に26日以降も出来次第upしていきますけど(笑)


2009.12.24.木 作成
2010.1.18.月 移転


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ