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波の音が聞こえる……
目を開けると沈みきっていない太陽の眩しい光が私の目の中に飛び込んできた。
「んっ……うっ」
次に感じたのは身体中を支配するじめっとした違和感。お気に入りのシャツもぐしょ濡れだ。そんな事よりも……
「くしゅん」
寒すぎる。今は12月。濡れた体でいるには少し酷な季節だ。裸でいるのは乙女の尊厳的にあり得ない。
どうしようか、そう考えていると何やら小屋のようなものを見つけた。近づくとそれは段ボールやら木材やらで出来ていることがみてとれる。大方近くの少年達が作ったのであろう。運良くもそこには少年達の忘れ物であろう体操着とジャンパーがあったのでありがたく拝借する。少し小さいが濡れた衣服を着てるよりはましだろう。
衣服の問題が解決したのでいよいよ自分が濡れ鼠となっている理由を考える。
確か自分は武器職人を志し海外に修行……この場合視察であろうか、に向かう最中だった筈だ。途中、乗船してた船が何かによって難破したんだっけ。でも爆発音は聞こえなかったし……
結果流されて今ここにいるというわけ。
「納得出来るかっ」
思わずそう叫ぶ。幸い周りには誰も居ないらしく私の恥ずかしい叫びは聞かれることはなかった。
不幸中の幸いにも私の工具箱は浜の近くに転がっておりまた財布も服の中から見つかった。
少しポジティブに考えることにしよう。もとより私は海外に行くつもりだったのであろう?だったら……
これくらいの逆境くらいはねのけられなきゃね。これは課せられた試練の一環ぐらいに思っておこう。
そう自己完結し私は口角をあげる。鳴り響くのはけたたましいサイレンの音。
『緊急速報、緊急速報。』
こんなチャンス滅多に無いだろう。思わず顔が綻ぶ。
「さぁさ、身を守るには武器が必用だよ。侵略するにも武器は不可欠さ」
だから、武器職人真空 瑠奈さんの出番ですよ。