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 中央エリアにそびえ立つホテル。内装やスタッフは清潔感に溢れておりサービスといいこのホテルがそれなりに高級である事が伺える。
 そのロビーのソファにもたれてコーヒーを飲みながら新聞を読む白いYシャツの目付きの悪い男が一人。一見会社員かなにかかと思うが彼は会社員ではない。

「なぁ、俺の記憶違いかもしれへんけど、あんた今日の会合の参加者ちゃうやろ」
「そうですね。おれはフリーのジャーナリストの皇と申します。早乙女 岬さん」

 彼は自身の目の前に座った皇と名乗った男に名前を当てられた事に動揺するもそれを隠す様ににへらと笑う。

「俺は早乙女 岬やあらへんよ皇さん。早乙女 海里や」
「またまたご冗談を。ところで早乙女さん」

 皇は真剣な顔つきを岬に向ける。良く見ると皇は中々整った顔つきをしている。短い黒髪が彼に清潔な印象をもたらしているのだろうか。
 
「つれへんなぁ。で、なんや?」
「早乙女さん、あなたは今回の会合でなにか発表なさるおつもりで?」
「なんも。まぁあったとしてもこないな場所で記者さんに話す訳なんかあらへんけどね」

 皇の問いかけを岬はは鼻で笑いそう言った。それに対し皇はたいして表情を変える事なく切り出した。

「では、今日の会合で何が発表されるかご存知で?」
「知らんで。知っとる訳ないやろ」

 皇は岬の答えを聞くとにっこりと笑い口を開く。

「早乙女さん、今この人工島で話題になっている都市伝説があるんですよ」
「どうにも、動く死体が出るとか」

 皇の話に岬はコーヒーを吹き出しそうになるのをこらえて慌てて口をおさえる。

「なんやそれ、そないなゴシップ……」

 そこまで口に出して岬は言葉を止めた。皇の方も先程までとうって変わって固まっていた。
 ホテルの従業員達が慌ただしく動いているのがみてとれる。二人の目線の先にはホテルの監視カメラのモニターがあった。
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