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憂鬱
もうすぐクリスマスだけどどこか行ったりするの?
墓場系女子
うーん、クリスマスの予定はないけど今日はちょっと買い物しに数年前できた人工島に行こうかな
憂鬱
人工島に!?ぼく人工島在住だからもしかしたら会えるかもね
西エリアにあるショッピングセンター内のインターネットカフェの一室でもう冷めてしまったコーヒーを一気に飲みぼくはパソコンをの電源を切った。
画面から視線を外してあくびとのびをする。固まっていた体がポキポキと音をたてながら動き始める。時計の方に目を向けると短針は3を指していた。
もうこんな時間かと思い伝票を手にとり個室をでる。受付には茶色に髪を染めた女性が携帯をいじっていた。その姿に少し引きながらぼくは伝票と千円札を渡す。20円の釣り銭を受け取りぼくは店を出る。
12月23日、冬休み前の祝日にネットカフェで過ごしていたなんて高校生の生活としては虚しいものがあるがぼくにとってそんな事はとても些細な事だった。
自分の行き付けであるサイトの管理人である墓場系女子との他愛もない雑談(チャット)が今の自分にとってもっとも楽しい事なのだから。
「楽しみだなぁ」
だからぼくこと南木 雄一は彼女、墓場系女子との待ち合わせがとても楽しみだった。
「次は中央部西、中央部西」
私は開いていた携帯を閉じ降車ボタンに手をのばす。次、止まりますというアナウンスの後バスは速度をおとし停留所に停車する。席を立ち270円を運賃精算機に入れてバスを降りる。
そこは最近の都市としては珍しく高層ビルの類いは見当たらず頭上に広がる青い空につられて深呼吸をしてみる。
「排ガス臭っ」
当たり前である。
気を取り直して周りを見渡す。さっき高層ビルの類いはないと言ったがよく見ると清潔感溢れる町並みに流石に最近できた町だなぁと思い知らされる。
趣味であるコスプレの道具を買うために人工島に来ると言うとチャットルームの常連である憂鬱が人工島在住なので会わないかと持ちかけて来たのだ。
私こと木津 詩織にとっても、この場合は墓場系女子と名乗った方がいいかもしれないが、わたりに船だったし勿論断る理由がないのでその提案に了承した。
不届きな奴だったら蹴り飛ばしてやろうと思いながら待ち合わせの場所に向けて歩き出した。