リグレイア戦記
□リグレイア戦記
1ページ/6ページ
大陸暦1435年。大陸には五つの国が血で血を洗う戦争を繰返し繰返し続けていた。
一つは帝国。領土拡大に積極的で最も大きな軍事力を持つ国。しかし貴族達の勢力争いが加熱しておりそのために戦争をダラダラと続けてしまっている。
一つは皇国。小国ながら隣接する帝国軍を不屈の意思と護国の魂で退けている国。しかし消耗が続き国としては疲弊が続いている。
一つは共和国。身分制がないのが特徴で平民による合議制が成り立っている。表立って帝国と敵対してるわけではないが帝国をよく思っているわけでもない。
一つは王国。勇敢な王のもと帝国に次ぐ大国であるが才ある後継者が先王を廃したばかりである。
一つは連合。その名の通り帝国を恐れた弱小国家が結集した国である。もちろん一枚岩という訳ではない。
そんなまさに戦国時代といった大陸でのお話しである。
「とても、とても悲しい話をしましょう」
「それはこの戦国時代と呼ばれていたリグレイア大陸において」
「ある者は平和のため、ある者は国のため、」
「ある者は家族のため、ある者は私欲のため」
「ある者は民のため、ある者は復讐のため」
「ある者は未来のため、ある者は過去のため」
「戦乱の歴史に翻弄されて、儚く、美しく、輝きを放った英傑達の物語」
「私には政治がわかりませんわ。故にお飾りだとわかっていても、なにもできませんの」
「王よ、なぜあなたは何もしてくださらないのですか?」
「……貴族も王も、戦争を続ける奴等はみんなくたばればいいんだっ」
「来なさい。帝国の蛮族ども。皇国の聖女が相手になるわ」
「……続いて貰わないと困るんだよ。戦争はさ」
「父王では、我が国は滅びる。私が、私がやらないと」
「勝ち馬に乗るってんのも面白くねーな」
「そのままでいいの。あなたは何も知らずのうのうとしていれば、いいの」
「……ふふ、退屈ですわぁ」
大戦
そう呼ばれた戦争がこの大陸にはある。
敵対していた帝国と王国の二つの国。帝国の皇国への侵攻から戦いは始まる。皇国を狙う帝国を横打ちするように王国も出兵。武力を高める二国に怖れた小国どうしが契りを結んだ連合の発生。不気味な中立を貫く共和国の存在。たった一つの侵攻から始まった五つの国と大陸中を巻き込んだ血で血を洗う泥沼な戦い。
土地は枯れ、民は疲弊し、兵士は死に、血が流れたこの時代。
そんな時代の物語である。