cp

□ありがとうシリーズT
1ページ/4ページ








そこには、四匹の動物が暮らしていました。とても仲の良かった四匹。

しかし、周りはこう言います。




「おかしいね、一匹だけ場違いなのがいるや」




スポーツ万能な鹿とプレイボーイな犬は悪戯好きな大の親友でした。
甘いもの好きな狼は監督生でした。



もう一匹の鼠はただひさたすらに大きな三匹の後ろを走っていました。自分の小さな体の一歩じゃ三匹には追い付かないことを鼠はずっと前から知っていたからです。













自分がみんなと釣り合わないことぐらい…自分がよく知っていた



こんなことを真剣に思いはじめたのはいつだろう。ピーターは、いつになく眉毛を下げて思い詰めた。




ああ、あの時だ。





ピーターの脳裏には昨日の出来事が蘇る。





「え?シリウス風邪引いたの?」

「そうなんだよ、参ったよね全く」

「一日ずっと寝てれば治るらしいから医務室は行かないんだって。だから、心配しなくていいよピーター」

「うん、」

「それと…」



リーマスは更に付け加えた。



「僕たち、今日は用事があるから一緒に行動出来ないんだ」

「そ、僕はこれからクディッチの練習だ!」

「僕は監督生の仕事でね…だから、ピーター一人になっちゃうんだけど」

「わ、全然気にしなくていいよっ僕は一人で大丈夫」



ピーターは、ニッコリと笑って言った。

その日、ピーターは一人だった。





あれ、なんか違う…



「それで昨日さー」

「お前っアホじゃねぇのー」

「あっははは、なにそれー」

「新しい魔法覚えたんだけど」

「そうじゃない、普通はこうだろ?」




雑踏が目の前に広がる。
いつもと違う風景に何だか違和感を感じる。

何故だ?



そう考えていると誰かと肩がぶつかり、持っていたものがバラバラと落ちる。




「いってぇ」

「…っ、ごめんなさいっ」

「あれ、コイツ…ピーター・ペティグリューじゃねぇ?ほら、ジェームズ達と一緒にいる…」

「うっそ、コイツがピーター?俺もっと冴えてる奴かと思ったけど」




二人はクスリと笑った。




「全然、駄目じゃん」

「所詮、金魚のふんだろ」




いつもなら、道が開かれて注目を浴びていた。
近寄り難いものだったのに今はどうだろうか。

惨めのなにものでもない。散りばめられた教科書を拾っていても誰も手伝ってくれない。いつもなら、









『おいっ何ぶつかってんだよ謝れよピーターに』

『ピーターにぶつかるってことは僕たちにもぶつかったと同じなんだからね』

『ピーター大丈夫?僕も拾うの手伝うよ』






『ありがとう、みんな』







ピーターはそんな甘い光景を振り払うように頭を振った。




「(僕は何を期待しているんだろう)」







ピーター・ペティグリューは大したことのないやつ。そう認識されてもおかしくないだろう。

今日一日で何人もの生徒が同じ疑問を頭に浮かべていた。





なぜ、ピーターがジェームズ達と一緒にいるのだろうか




あまりにも不釣り合いな四人に疑問を寄せる。





「(聞きたいのは僕の方だ)」





沢山の視線を浴びながら、ピーターは思った。
そんな視線から逃げるようにピーターはいつも四人の特等席である大きな樫の木の下に来た。周りでは友達と遊ぶ人達がいるのにピーターにはいない。

でも、ピーターは思った。それが当たり前なのではないかと…




「はあ、」




少し一休みしていた時だった、ピーターの肩を誰かが叩く。


もしかしたら、とピーターは淡い期待を胸に振り返る。するとそこにはジェームズ、シリウス、リーマスの残像を残した知らない生徒だった。





「はい、さっきそこで拾ったんだけど君のだろ?」

「あ、うん…ありがとう…」

「行こうぜ行こうぜ」

「おう、待てよ!」





落とした教科書を渡され、颯爽と去って行った。





「馬鹿みたい」




浮かれていた自分にピーターは渇いた笑い声をあげた。







.
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ