翡翠

□Story1
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▼[―――]


AM2:35


街は闇に包まれ、静まり返っていた。


タタタタっ

その中を、サラリーマン風の男が走っている。

「ハァ…ハァ…」

スーツケースを大事に抱えながら、街灯の届かない裏路地に入っていく。

しかし、これが間違いだった。

彼の言った先は、行き止まりだったのだから。

「…そんな…」

「残念だったなぁ〜兄ちゃんよォ〜」

急に、後ろから嫌味ったらしい声がした。

息も絶え絶えに男が振り向くと、体に傷跡だらけ、入れ墨だらけ、目つきの悪いヤクザ風…

いや紛れもなく、三人の893がにやにやとこちらを見ていた。

「へっへっ〜もう逃げられへんで〜!」

「とっとと、そのスーツケース中身、俺たち欲産(よくさん)会に渡すっす!!」

スーツケースを抱いたまま、男は893たちを睨む!

「…いやだ!会社の機密を…渡す訳には…っ」

「はっそうかよ…いいぜ…。」

すっ…

893の一人がナイフを取り出し…、

「……っ!」

それを男に振りかざした!!

「ヒャハ――っ!
死ねe『いやお前が死ねよ。』

ガスっ!

「ギャフンっ」

突然、ナイフを持っていた893が倒れた。

「兄貴!?」

「あかん、完全にダウンしとる!」

その瞬間――、


ゾクッ!!!


893たちを震え上がらせるような殺気が、当たりを支配する…

「な…なんや…?」

まるで、獲物を見つけた猛獣に睨まれたような…


おそるおそる振り向くと、すぐ後ろに影がいた。


そして、その影はどんどんこちらに近づいてくる!

「あー、あー、てめぇら雑魚どもに告ぐー。」

その低い声は、ますます「雑魚」たちを追い詰めた!

「ひっ…!」


「てめぇらに恨みはないがー、悪いがこういう仕事なんでなぁー…」

その時、月明かりが、影を映しだした。

     
現れたのは、《サングラスのよく似合う男》…。


「お、お前まさか…『狂鷹の眼』(クレイジーホークアイ)の…っ!」

893たちを無視し男は続ける。


ゴキリっ

と合図のように拳を鳴らし、


「とりあえず…


てめぇら全員ぶっ飛ばす!!」








仮面ライダージェイド

story1
飲み下された翠の石
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