番外編
□貰い物・クォーター様から
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「咲耶様。
貴女に絵を描いていただき、ありがとうございます。
お礼と言ってはなんですが、貴女に一日限りの非日常をお届けいたします」
先ほど携帯電話に届いたメールを開き、咲耶は訝しげな表情を浮かべた。
メールの送り相手は近頃親しくなったとあるサイトの管理人。だが、メールアドレスを教えた覚えは無い。
悪戯メールだろうか?と内心で考えるが、どうやらそれは違うようだ。
メールの本文から察するに、そのサイトの管理人が絵のお礼としてこのメールをくれたらしい。
どういう事なのか首を傾げながら、咲耶は返信ボタンを押した。
絵のお礼というのはありがたいが、そのお礼と言われる非日常をどうやってプレゼントすると言うのだろうか。
カチッと携帯電話の返信ボタンを押し、返信メニューを開く。
そしていざ、本文を書き出そうと思った瞬間、携帯電話の画面が光り始めた。
「え、えぇ!? な、何、これ!」
咲耶は慌てて携帯電話を放り投げようとしたが、携帯電話は咲耶の手から離れない。
まるで、タコの吸盤が吸い付いているようだ。得体の知れない恐怖が、咲耶を襲う。
携帯電話から発せられている光の発行が強くなり、咲耶が休んでいた部屋の中を包み込む。
そして光が完全に晴れたとき、そこに咲耶の姿は無く、寝転がっていたベッドには携帯電話が落ちていた。