宝物
□遥かな時間(とき)と今あるすべて
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清明は今頃あの部屋で何が起こっているかを想像して、ほくそ笑んだ。
(ふふふ、紅蓮のやつ。あの状態だと相当悔しそうだった。
からかいがいのある奴め……。)
いきなり清明は歩くのを止めた。
昌浩が不思議がって清明を見上げる。
(そういえば昔はこんなに砕けた感じじゃなかったのぉ。
親バカっぶりというのもレア物じゃし。これもそれも……)
清明が下を見やる。
昌浩と目があい昌浩がにぱっと笑った。
清明もつられて笑い返し、昌浩の髪を撫で付ける。
「これもそれも、昌浩のおかげじゃなぁ。」
ん?と昌浩は小首を傾げた。
「そうかそうか。まだ昌浩には難しかったか。
……いずれ分かるときが来るじゃろう。」
清明は昌浩の手をひいて再び歩き始めた。
「昌浩!待ってくれ!!」
ドタドタと紅蓮が昌浩を追いかけてやってきた。
ようやくショックから立ち直ったようである。
「ぐれん!!」
昌浩は笑顔で振り向き、紅蓮に向かって小さい手をおもいっきり伸ばした。