ツナ受け

□[放された手]
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あの人の手

放したら

もう二度と

会えないって










伸ばし放題の髪を掻き上げて重力に逆らった逆毛は今では髪の重さで下に下にと垂れている

長く伸びた爪は切る事なくもう一センチは優に超えている
時々何かに引っ掛かって折れて深爪になりそこからじわりじわりと真っ赤な血が滲んでくるけど

嗚呼また折れた
でも痛いとは感じない。感じれない


何も感じない



嬉しいという気持ちも

哀しいと思う気持ちも




全部 全部

感じない






薬指の爪の間から血が滲んでそこに己の舌を這わす
鉄の錆びたような吐き気がする味

ガリッと歯で噛むとそこからドクドクと鮮血が吹き出して指から指輪を通り掌へ手首へ伝い肘へと流れ落ちた




銀の指輪が赤く紅く染まる様を見て
ぎゅっと自分の躰を抱締め躰の震えが止まるのを待った





「嘘つき…」




また会えるよ必ずいつの日かまた会えるから。何泣いてるの?そんな顔見たくないよ。君は笑っている方がいい ほら 笑って?

──綱吉







「………嘘つき嘘つき嘘つき」


紅く染まった指輪を床に投げ捨てた
カランと虚しく響いて床に転がりその転がった先で誰かの足に当たりまたカランと鳴った

部屋の中でも靴を脱がない奴なんてアイツしかいない
蹲っていた躰をゆっくり起こしその人物の顔を見た


「無様だなツナ」



転がった指輪を拾い上げるとリボーンは真っ直ぐ俺のもとへ来て
伸びてボサボサの俺の髪を優しい仕草で撫でると
左薬指から流れ落ちゆく紅い液体を気にする事なく先ほど拾い上げた指輪を俺のソレへと填めてくれた





「アイツから貰った大切な物を捨てるんじゃねぇ」




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