小説

□星は、痛いね
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それから数日後。




俺はまだあのネックレスが頭から離れなかった。



離れるどころか、益々くっついて俺を放さない。




あんなん地味で俺の趣味とちゃうのに。







______________



その日も部活をこなし、ケンヤさんと帰る。



「なぁ、財前」

「ん?」

「今日が何の日か覚えとる?」

「……今日ッスか?」

「おん」


今日…ねぇ。


7月20日やろ?



……あぁ、俺の誕生日か。



あのネックレスのことで頭がいっぱいやったから忘れとったわ。


「俺の誕生日っすわ」


「せやろせやろ??」



なんや、急にめっちゃ笑顔になったわ。



「はぁー…渡すモンあんならはよ渡せや」

「なっ!!バレとったんか!!」

「誰でもわかるわ。ケンヤさんアホなんとちゃいます?」

「誰がアホや!」

「ケンヤさん」

「〜〜っ!!ま、まぁええわ。これやるわ」



そう言ってケンヤさんがくれたのは白い小さな紙袋だった。



俺は早速空けてみた。


「…っ!!………ケンヤさん…これ…」

「どや?驚いたやろ?」



中から出てきたのはあのネックレス。



「なんで…」

「なんでって、お前の誕生日やろ?」

「せやけど」

「あんな目で見とったら買うしか選択があらへんやんけ」

「……」




プレートの裏を見ると、そこには文字が刻まれていた。



"Kenya ☆ Hikaru"



「なんやねん…これ」


「あぁ!それか!それはなぁ、俺の名前とお前の名前やで!」


「そうゆう意味やない…」


「あ、この☆か?これは俺の浪速のスピードスターと財前光の光っている星を…「そうゆう意味やない言うてるやろ!!」な、なんやねん、急に…」



自分でもわからなかった。



なぜ自分が怒っているのか、なぜ自分はこんなにも必死なのか。




「なんでや。なんでケンヤさんは俺の気持ちがわからへんのや。
俺はアンタを避けるためにあんな他のやつらに言うよりも酷い毒舌で接してきたんや」


「………」


「俺はアンタが嫌いや!!
なのに!なんでアンタはそんなヘラヘラヘラヘラ笑ってられんねん!!」


「財前……」



気づいたら視界がぼやけていた。

何も見えへん。



「、財前」


「っ……」


ケンヤさんが俺の肩に手を置いた。


「なんで嘘、つくん?」


「えっ?」




なんやねん。急に。



「俺は財前が好きや。俺は嘘はつかへん。
お前は…どうなんや?」

「そんなん……」



なんでこの人はこんなことをサラっと言えるんやろうか。


俺はこの人がよぅわからん。







やっぱこの人は苦手や。




「俺は……嫌いに決まっとるやないですか」



俺はなぜか笑って言った。


普段笑ったこともないのに、自然と笑顔になった。


ケンヤさんも笑った。



俺よりも無邪気な笑顔で。




「やっぱそう言うと思ったわ」











________________



____________




俺はあの時もらったネックレスを学校のカバンにつけている。




俺は……




たぶん、テニスラケットよりも大切かもしれない。

さすがにそれはないか。




誰や………?




だって、嫌いなケンヤさんからのもらい物やし。



「ざーいぜんっ!」

「キモイんで死んでください」

「酷いなぁ」



俺は……




「俺はアンタが嫌いなんや、付きまとわんでください」

「別にええやん」


そう言って、あの時の笑顔をまた俺に向ける。





財前光………


















ほんま、ケンヤさんなんか大嫌いや……















そう思いながらも後ろについてくるケンヤさんの所為で、俺は自然と笑みを浮かべていた。





























こんな自分がおってもええと思った。















end.




あとがき


光!誕生日おめでとう!!
貴方が生まれてきてくれて本当にうれしいです!

ま、まぁ、文はともかく!
謙光が書けてよかったです。







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