小説
□星は、痛いね
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俺は……
誰や………?
俺は……
財前光………
そんなんとっくに知っとるわ。
でも、なんやろ…
なんかちゃうねん。
俺やない。
でも、俺はそこにいた。
俺はそこにおる。
いや、こんな俺がおるハズがない。
この人の前では、俺の知らない俺がおる。
お前は…誰や?
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「よぉ、財前!」
「うっとぉしいッスわー、地獄に落ちろやケンヤさん」
「ちょっ!!声かけただけやないか!!」
そう言ってちょっとスネ気味のこの人は俺の一番苦手な人や。
だから俺は避けようとする。
なのに、この人は全く俺の態度に気づこうとしない。
俺はラケットを持ち、空いているコートへと入った。
「ん?財前?何しとるん?」
「ケンヤさん相手がおらんから声かけたんやろ?
仕方ないから、打つ相手のおらんケンヤさんと打ってやろう思ったんや」
「お前相手おらん強調しすぎやろ!!」
「…で?」
「やりますやります!!やってください!!」
こんな嘘しか言えない。
素直になれない。
ムズカシイ…。
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「そーいや財前」
「…なんッスか?」
「この前なぁ、珍しいアクセサリーショップ見つけたんや!どや?今度一緒に行かへん?」
「まぁ、ケンヤさんがどうしても俺と行きたい言うんやったら行ってあげないこともないッスわー」
「相変わらずやな、お前」
まぁ、本当はケンヤさんと行くの嫌やけど多少興味あるしええか。
そんで、俺はケンヤさんに連れられてそのアクセサリーショップとやらに行った。
へー、意外と客おるんやなぁ。
「じゃあ、俺適当に見てますわ」
「おん!」
店内は狭いけど、種類が豊富やった。
意外とええのがあるかもしれへんなぁ。
すると、あるアクセサリーが目に入った。
それはネックレスで、特に派手というわけでもない。
至って普通だ。
ただの細い銀のプレートがついてるだけ。
そんなネックレスからなぜか目が離せなかった。
「なんや?それが欲しいんか?」
「!?」
急に横から現れたケンヤさん。
俺は思わずビックリして叫びそうになった。
「別にそんなんちゃいますわ」
「…そうなん?」
ほな行こ、と言われ、アクセサリーショップをあとにした。
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