short story

□ナツ
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「ナ…………ツ……」



あの時のように、
小さく呟いてみる。


でも、返事なんかない。



「………ナ………ツ……」


いないってわかってるけど、何度も呟いてしまう。


ねぇ、


今年も来てくれるよね。


約束したよね。



去年の約束、


私、


忘れてないよ。





私は押し寄せては

引いていく波を眺めていた。



太陽は少しずつ沈み始め、
海は夕日でオレンジに染まり、


寂しい波の音だけが響いていた。
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