short story
□ナツ
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「マネージャー。あと何分で到着ですか?」
後ろの座席から、
まだ野球部に入って数カ月の1年生が顔を覗かせた。
「なぁに?緊張してんの?」
明らかに顔が強張っている1年生を見て、私は少しニヤニヤしてしまった。
「当たり前じゃないっすか!自分、初めての甲子園ですから!」
興奮した彼は、
座席をバンバン叩く。
「……そうだね。みんな、今年も本当に頑張ってたからね。」
「絶対優勝しましょうね!先輩!」
「ふふ。応援、一緒に頑張ろうね。」
窓の外には
葉が生い茂った球場がそびえ立つ。
………また
来てしまった……