てにす

□白紙のノート
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『仁王くんやーい』

「んー?呼んだ?」

『はーなーれーてー』




仁王の部屋で一週間後に迫ったテストの為に勉強をしていた。珍しく仁王から勉強しようと言われたから来たのに言い出しっぺの仁王は30分も経たないうちにシャーペンが手から離れていた。





「勉強できん?」

『いや、手は動くから勉強は出来るよ』

「なら問題ないけん大丈夫じゃ」

『あるよ!大丈夫じゃないよ!問題ありありだよ!集中出来ないの!』




後ろから抱き着いてきてギュウギュウとお腹辺りを締められ耳元でいい声で喋られたら集中なんか出来る訳が無くて、私のノートは半分から下が真っ白なままだった。




『雅治くーん!』

「名前で呼ばれるとキュンってするんじゃけど」

『じゃあ名前で呼ぶから離れて』

「無理。くっついとらんと死ぬもん」

『小学生か!まー君いい子だからテレビ見ててよ!』

「今はテレビよりななしのがいい」

『キュンってした!でもダメ離れて。今回のはマジでヤバいから!仁王みたいにやらなくても出来る子じゃない私は努力しなきゃダメなの!』

「何にも聞こえないナリー」

『て、てめぇ仁王ちくしょう!』

「プリッ」




一向に離れる気配を見せない仁王だが私だってここでシャーペンを手放す訳にはいかない。こうなったら最終手段“甘える”を使うしかない。




『ねぇ、雅治…』

「!、なに、」

『私ね、今すっごく勉強頑張ってるでしょ?なんでか分かる?』

「それは、テストが近いから、やろ?」

『そう。間近に迫ったテストでいい点を取って、仁王と同じ高校行きたいから頑張ってるの』

「!」

『私は高校行っても一緒に居たいんだけど…仁王は嫌?』




少し首を傾けフィニッシュ。自分からやっといてなんだが気持ち悪い。でも仁王にはしっかり効いたみたいで目を真ん丸にしてお腹に回っていた手が緩んだ。



『(勝った…!)終わったらたくさんギューってするから待ってて、ね…仁王くん?あの、手が』




気づけば私の手に仁王の綺麗な手が重ねられていて指の間をゆっくり撫でられた。



『ん、仁王っ!待っててって言ったよね?手が邪魔なんだけど…』

「ななしが頑張ってくれとうのはよく分かった。ほんでも、」




スルスルと仁王の手が足に下りて行く。これはかなりマズイ気がする。そんなふうに思った時はもう手遅れだった






「今は俺ん事だけ見て?」






そう耳元で低く甘く囁かれて無視出来るほど私は恋愛に慣れてないから、とうとう私のシャーペンも机に転がった。







白紙のノート

明日からは本気で頑張る。なんて思ったけどきっと明日も流されちゃう私は本当に甘いんだと思う。









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二人っきりになると甘えん坊になっちゃう仁王くんとかどうですか

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