てにす

□急発進!
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!高校生設定!


「なぁ、謙也」
「んー」
「お前最近ここのファミレス気に入っとるみたいやけど好きな子でもおるん?」


そう言ってやったら謙也は見事に椅子から滑り落ちた。ついでに広げていた勉強道具も落ちた。


「ははははははぁ!?居てません!そんなん居てませんー!」
「居るんやね。そんなに通っとっと?」
「おぉ。週4ペースで来てねん。被害者は主に俺」
「キャバクラに通う親父と大差ないばい」
「そんなんちゃうし!」
「どの店員さんなんやろねー」
「謙也が惚れた子かー」
「聞けや!話しを聞け!!」


やいやい騒ぐ謙也を横目に店員さんを順番にさりげなく見ていく。
この時点で留年しかけの千歳を助けてあげよう勉強会はヘタレな謙也の恋を見守ろうの会に変わった。


「あ、分かった。あの子やろ」
「どれどれ」
「今机拭いとる、あー…見えへんなぁ」
「机…あぁー…おぉ!あん子か!」
「もうお前ら嫌い。めっちゃ嫌い」
「いじけんなて。当たりやろ?」
「特に白石が嫌い。」
「名前は聞いたとね?」
「聞けるわけないやろアホ!自由人!留年しろ!」
「逆ギレされたばい」
「ヘタレな謙也に名前聞くなんて無理やて」
「ヘタレとか言うなや!ほな白石聞けるん!?店員さんに名前聞けるん!?」
「聞くくらい、なぁ?」
「注文聞きに来たときとかに聞けん事なかよ?」
「あれや、謙也。ご注文は?って聞かれた時にかっこよく“君をテイクアウトで…”って言うたれ」
「ドラマみたいたい!」
「引くわ!ドン引きやわそんなん!!」
「やってみんと分からんばい!ほい!」


ピンポーン
『はい!今お伺いしまーす!』



「千歳えええ!!」
「あははははっ!マジで押すとかさすがやな千歳!」
「男なら度胸みせんね!」
「度胸とかやなくて」
『お待たせしました。ご注文お伺いします』



狙ったように謙也が片思いしている店員さんがきて必死に笑いを堪えた。



「や、あの、えっと」
「謙也はよ決めぇや。」
「店員さん困っとうよ」
『?』
「あ、ああああああの、」
『はい』
「てててて店員さんを、テイクアウトで!」

空気が凍った。その間2秒、俺の腹筋は崩壊した。



「あはっ、あははははっ!!ま、マジでやっ!!マジでやるとかあはははは!!」
「よくやった謙也!それでこそ男ったい!」


ただでさえ笑えるのに店員さんの留めの一言で死にかけた。



『えっと、私は商品じゃないんで…あとうちテイクアウトやってないんですけど…』

「あはははは!!腹痛っ、腹痛い!」
「残念やったばい謙也。ほんでも男なら諦めも肝心たい!!」
「…お前らなんか嫌いや!!」


謙也が机に突っ伏すから余計笑えてきた


『あの、』
「あぁ、堪忍な。冷やかしとかやないねぶふっ!!あかん、まだ笑えるつ…!!」
「謙也が店員さんに惚れたらしいんよ」
『!!!!』
「ち、千歳えええ!!!一度ならず二度までもおおお!!!!」
『えええ!?』
「付き合っとる人でも居るんね?」
『いない、ですけど…』
「もう止めて!千歳様もう止めて!!」



半泣きで自由すぎる千歳を止める謙也が気の毒だとは思った。思ったが俺の笑いは止まらない。



『友達、』


「へっ!?」
『友達から、で…いいですか?』




まさかの返答に俺の止まらないと思われた笑いは簡単に止まった。



「え…?ちょっと待って待って!ほんまにえぇの!?」
『友達からで良いなら』
「店員さんテイクアウトでとか言うヤツやで!?」
『それは、まぁ…アレですけど…』
「やったばい謙也!謙也の真っ直ぐな気持ちが店員さんに届いたばい!!」
「ちょっと千歳黙ってくれ…頼むから…」



『とりあえず、名前聞いてもいいですか?』






急発進!

「あ…謙也さん」
「財前!どないしたん?お前がこっち来るなんて珍しいやん」
「店員さんをテイクアウトでって言うたってほんまっすか?」
「!!白石いいいい!!!!!」
「あ、ほんまなんや。」



2人が付き合いだすのはまた別のお話





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