てにす

□ホワイトラブレター
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ようやくウザったい先生から解放されてクラスに入ろうとしたら入口に見慣れたデカイもじゃもじゃが居た。




「何やってんねん千歳」

「ユウジ…」

「テンションひっく!どうせななしやろ?いつもみたいに呼んだらええやん」

「…………」

「ほんまにテンションひっく!!おーいななし!千歳来てんでー!」




クラス中が静まりかえった。ただ俺はななしを呼んだだけなのに小春を筆頭に女子から睨まれ男子には哀れみの目で見られた。一体俺が居ない間に学年1仲のいいクラスと称されたこのクラスに何があったのだろうか。




「ななしちゃんやったら居てへんよ」

「小春…でも、そこに」

「居てへん言うたら居てへんのや!!一回で聞き取れや!!!」

「はい、すんませんでした。」

『一氏くん、ごめんね』




いつもより力無い笑顔でそう言ったななしに返事を返し千歳を見ればものすごく情けない顔をして自分のクラスに帰っていった。




「何があったん?」

『今ね、私と千歳ケンカ中なの。って言っても私が一方的に』
「ななしちゃんは悪くない!!悪いんは全部千歳はんなんやから!!」

「千歳なんかしたん?」

「昨日な、ななしちゃんと千歳はん付き合ってちょうど1年なんよ。なのに千歳はんその事忘れとったんやで!?それだけならまだしもななしちゃんが電話してもメールしても連絡着かへんかってんで!?」

「あー…」

「しかも謝罪の言葉がすまんかったの一言やで!?いつものヘラヘラした笑顔で!!!調子乗っとんのかごるぁ!!!」

『こ、小春ちゃん落ち着いて!』

「せやから千歳はんがほんまに反省するまでななしちゃんには会わせへん事にしたんや!ユウくんも協力してや?」

「そら千歳が悪いもんな…分かった。協力するわ」

「さすがユウくんっ!それでこそ私のパートナーやね!」

「小春っ!!」


あれから千歳は休み時間事にななしを訪ねて来たが女子と小春の妨害によりななしと一切接触出来ずにあと1時間で授業終了まで来てしまった。窓から外を見れば千歳のクラスは体育の授業らしく外にいた。



(小春を敵に回すなんて気の毒なヤツやな…)

なんて思いながらグランドを見てたら千歳がラインカーを引っ張り何か書き出していた。


「…え、嘘やろ!?」

「一氏うるさいでー今授業中やからなー」

「それどころじゃないわ!!ななし!!外、外!!」

『?』


「ななしー!!」



急いで窓を開けたら千歳の声がバッチリ聞こえてきてクラス中みんな窓に駆け寄った。グランドには石灰で書かれたハートと「大好き」の文字



「ななし!昨日は本当にすまんかったばい!!」

『……千歳、』

「昨日は俺が悪かったのは分かっとる!でもななしと喋れんの嫌たい!!ギュッと出来ないのも頭撫でれないのも大好きだって言えんのも嫌たい!!」









「記念日とか忘れるアホな俺やけど、本当にななしの事愛しとうけん許しちゃって下さい!!」







みんなの視線は千歳からななしに。ななしはポロポロ涙を零しながらスゥっと息を吸い込んだ。





『次やったら別れるからね!!大好きだアホー!!』




ななしのその台詞を皮切りにクラス中が歓声で湧いた。見れば他のクラスからもみんなが顔を出していて学校中が2人を祝福してるようだった。




「ななし!!愛しとうよー!!痛っ!」

「痛っちゃうわアホ。今授業中やぞ!」

「先生!ななしが口聞いてくれたばい!!」

「おー、良かったな。ほな2人共放課後職員室までデートしてこい。」

「あちゃー、怒られちゃったばい」

「当たり前やろアホ!!青春すんのも大概にせえよ!!」



「ほな授業再開すんでー、早よ席着きやー」




放課後は職員室でお説教だし数日間は冷やかされるだろうにななしはそれはもう嬉しそうな顔してて、柄にもなく俺まで嬉しくなったのは秘密だ。





ホワイトラブレター

グランドのラブレターはすぐに消えちゃうけど君への気持ちはそう簡単には消えないんだよ

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