家族シリーズ

□告白
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「どうでしたか、十代目!?」
医務室を出るなり、屋敷中に響き渡りそうな程の大声で獄寺はツナの肩を心配そうに抱いた。
「うん・・ちょっとここでは話にくいから、私の部屋に来てくれるかな?」
柔らかく微笑んでツナは蒼白な顔の獄寺と自室へと足を進めた。

「どうぞ、飲めますか?」
「うん、ありがとう」
蒼いのティーカップにツナのお気に入りアールグレイをそそぎ、ソファに座ったツナにソーサーごと手渡しする。
あたたかい紅茶が体中に染み渡り、ほっと一息つく。
獄寺の心のこもった紅茶が体の隅々まで浸透する。
「・・・あのね、獄寺くん・・こっちきて」
はい、と返事しツナの隣に座ると、ツナは獄寺の指輪だらけの大きな手を
ぎゅっと握り締め、ゆっくりと瞳を見つめる。
ツナの大好きな、世界で一番美しいと思うライムグリーンの瞳が最後の審判を待つように細められている。
「実はね・・」
「俺はずっと傍にいます」
ツナが琥珀色の瞳を見開き、獄寺は続けた。
「十代目がどんなにお辛く、苦しくても俺は決して貴方の傍を離れません。
貴方の手を握り、涙を拭い、苦しみを分かち合いたいのです。ずっと貴方を支えます。ずっと貴方を、貴方だけを愛しています。俺の綱吉さん」

やっぱりこの人を好きになってよかった
この人と結ばれてよかった
これからもきっと大丈夫
獄寺くんとなら大丈夫

「私も・・獄寺くんにずっとそばにいて欲しい。離さないで欲しい・・愛してる・・獄寺くんだけを」
「はい・・十代目・・」
「っていいたいんだけど、ダメなんだ」
「・・ダメとはどういうことですか?」
「実は・・獄寺くんのほかに大切な人が出来て・・」
甘い空気が一転、獄寺の顔が至極深刻になりツナの肩を掴み問いただす。
「どういうことですか!?ほかに好きな奴が出来たんですか!?誰ですか!?」
そうだった 獄寺くんの着火点は短い上にややこしい。ツナが思いもよらぬ方向に暴走してしまう
「ちょっと、落ち着いて・・そういう意味じゃなくて」
「どういう意味ですか!?」
綺麗な顔に眉間を寄せ普段ツナが見ることのない険しい表情獄寺の頭の中はいもしないツナの想い人に早くも怒りの炎を上げている
あぁ 早くこれ以上彼がおかしな方向に走らないようにしなくては
「獄寺くん!聞きなさい!」
ぴしゃっと言い放つと獄寺の動きが止まる。
まるで母親に怒られた子どものようにしゅんと頭を垂れる。
「すいません・・」
「私も言い方が悪くてごめんね。でもこれはとっても大切な話だからちゃんと聞いてほしいんだ」
「はい・・」
「その大切な人って私のだけじゃなくて獄寺くんにもずっと傍にいて守ってあげてほしいんだ・・」
顔中に?マークを浮かべ獄寺はひどく困惑しているようだ。
ツナは獄寺の手を取ってそぉっと自分の腹部に触れさせた。
「ここに・・いるよ」
とくんとくん 聞こえてる?
この慌てんぼでまっすぐで優しくてママの大好きな大好きな人がキミのパパだよ
きっとキミを愛してくれるよ
獄寺は、手の下の腹部を瞬きもせずただじーっと見つめ続けている。
どれくらいそうしていただろうか。唇をゆっくりと開いた。
「ここ・・ということは・・おれとじゅうだいめの・・」
「そうだよ・・赤ちゃんがいるんだよ。ごくでらくんとわたしの赤ちゃん」
すると、獄寺の瞳から透明な涙の雫が零れ落ちてきた。
「あれ、どうしたの!?」
「ごめんなさいっ・・おれ・・うっ・・おれとじゅうだいめの子どもがいるんだと思ったら・・ずっげー・・うまくことばにならないくらいっ・・嬉しくて・・」
ツナは雫が落ちる前にあたたかな指先で涙をすくってやり銀色の髪を
いとおしそうに撫でた。
「うん・・私も嬉しいよ・・獄寺くんが喜んでくれて嬉しい・・2人でこの子、いっぱい可愛がってあげようね」
「・・はい!!」
嗚咽の止まらない獄寺の広い背中に手を伸ばし、獄寺も同じようにツナを
包み込み、涙が止まるまで2人は抱き合っていた。
 FIN

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