CAIN
□たとえ思いが伝わらなくても
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宮埜に誘導され俺が行ったのは署の屋上だった。
10月の外は、肌寒かった。それも屋上となれば尚更だ。
俺は、扉を背にして立つと宮埜を見据えた。
「で、話、何?」
「もう、僕とは会わないつもりだったでしょう?
今日、僕が連絡しなかったらホントに……。」
「いや、今日で、終わり、する、つもりだった。
俺、全、好き。宮埜の事、そういう対象に見れない。そう、言いたかった。」
苦笑いを浮かべる宮埜に俺は、それ以上、何も言わなかった。
言うつもりもなかった。
話は終わった。
そう思った俺は、踵を返してその場から立ち去ろうとした。