CAIN
□たとえ思いが伝わらなくても
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鑑識課の開かれっぱなしのドアから中を覗いた俺は宮埜がいないか、うそうそした。
しかし、宮埜の姿はなく俺は首を傾げた。
確か、メールでは
From 宮埜 郁杜
Sub 突然、ごめん(´・ω・)
今日、新澤署で会えないかな?
どうしても話したい事があるんだ。
悪いけど、2時に鑑識課に顔出してね。
-----END-----
と、書いてあった筈だと俺はポケットに入っている携帯を取り出し、ディスプレイを見ようとした。
しかし、それは途中で中断される。
何故なら、
「哲史、意外と早かったですね。」
と、後ろから声を掛けられたからだ。
振り向くと、トイレにでも行っていたのか手をハンカチで拭いている宮埜の姿があった。
昔から俺を追い掛けて、一番の友達でいようとする宮埜。俺は、そんな彼が、あまり好きではなかったような気がする。
己の感情など無視してきたから自分でも、自分自身の事がよく分からないが……。
手に持った携帯をポケットにしまい俺は、宮埜を見る。
何故だろう。いつもより彼の視線が鋭く感じる。
まぁ、あまり気にならないが。