CAIN
□たとえ思いが伝わらなくても
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「5日ぶりだな!!どうしたんだ、今日は?」
「宮埜に用事。……先輩、何で、俺のパソコン、あいつに、渡した?」
にこにこしていた先輩の顔が俺の問いによって曇った。
そして、苦笑いを浮かべると俺の肩を抱き、物置部屋へと向かう。
ただ、答えるだけで良いのに何故、物置部屋にと思った俺だったが、考えるのも面倒だった為、黙って彼について行く。
人気のない部屋に入った先輩は、顔の前に手を合わせ俺に謝る。
「すまん!!別に悪気があったわけじゃないんだ。宮埜が白鷺のパソコンが欲しいと切羽詰まったように言うもんだからよぉ。
詳しい事は訊かなかったけど、あいつ、お前の事、好きみたいだったし、片思いの手助けしてぇって思ってさぁ。」
「別に、良い。あれ、もう、いらない。じゃあ、俺、急ぐ。」
言下、俺は部屋を出ると鑑識課へと足を進める。
後ろから先輩が呼び止める声が聞こえた気がしたが、俺は早く用件を済ませて支部に帰りたい為、聞こえない振りをした。
今、こうしている間にも藍斗が全を何処かに連れ出しているに違いない。俺を置いて2人でいるなんて……。
考えただけでジェラシーを感じる。