CAIN
□たとえ思いが伝わらなくても
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それは、事件が解決して3日が過ぎた頃、俺は、ある奴から呼び出されていた。
本当は、会いたくなかったけど、言いたい事があって俺も呼び出すつもりだったから、それはそれで好都合だった。
新澤署の前。
つい、この間まで此処に通勤していたのに長い間、来ていない感じがする。
俺は、どっしりと構え、存在するだけで緊張感のある建物の中へと足を踏み入れた。
中は、刑事や様々な用件で来ている人間で、ごったがいしていた。受付に並ぶのも面倒に思えた俺は、勝手知ったる何とやらで階段の方へ足を進める。
すると、
「白鷺!!白鷺じゃねぇか!?」
と、後ろから声を掛けられ、俺は振り向く。
視線の先に真鍋先輩が嬉しそうに手を振り、こちらに向かって来るのが見えた。
彼は俺の先輩。尋睹達は嫌な奴だって言ってたけど、俺が此処で働いていた時は面倒見が良い人だった。
と、俺は思うけど、あんまり分からない。人と深く関わるなんて事、俺はしなかったし……。
俺は階段の所で立ち止まったまま、真鍋先輩が来るのを待った。