CAIN
□06
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自分の男だと主張するものが熱く猛り始め、吹き付ける風にさえ敏感に反応する。
これが媚薬の効果?
自分は喘ぎ声の出そうになるのを唇を噛む事で必死に抑え、彼を睨む。
「おや、声を抑えるの?……無駄な努力だよ…それ。」
睨み付けている事よりも声を出す事を我慢している事の方が気になるのか亨は自分に近付くと顎に手を掛けキスをしてくる。
藍斗以外の舌が口の中を這い回る。遠慮も気遣いもなく、我が物のように自分の舌や口腔を捏ね回す。
気持ち悪いと心は思っているのに体は媚薬のせいで快楽の波に呑まれようとしている。
飲み込めなくなった唾液が喉の方へ流れて行く感触にさえ自分の体は反応していた。
自分のものは今にも、はち切れそうに猛り先からは先走りが漏れ出している。
イキたい。
そんな言葉が脳裏を過る。
しかし、それをしないのは、この快楽が藍斗から与えられている物ではないから。
自分は媚薬でどうにかなりそうな自分を必死に抑えていた。
それも時間の問題で自分の体は亨にしてもらいたくて腰を突き出している。
「イキたい?」
「…………。」
「私は、黙っている人間に望んでいる物を与えようとは思わないよ。」
溜め息混じりに言った亨はポケットから細い紐を取り出し自分のものの根元をきつく縛る。
「ぅ……あっ…――クッ」
イクにイケない、この状態に思わず声が漏れるが自分は再び唇を噛む。
目からは屈辱か懇願はたまた、その両方の涙が流れる。
「綺麗な涙だね。もっと泣かせたくなる。」
「うっ!」
激痛に自分の顔は歪む。
足を抱えられ、一気に最奥まで亨のものに突き上げられたからだ。
とうとう藍斗以外の人間のものを中に入れてしまった。自分は悲しみと共に彼への裏切り行為に胸を痛め更に涙を流した。
しかし、そんな事、亨はお構い無しで激しく腰を動かし自分の中を突き上げた。
ガシャン、ガシャンと鎖の激しく摩れ合う音と肌のぶつかり合う音、自分の呻く声が、ほの暗い倉庫に響く。
「いや……イヤだ。――クッ…あぁぁ」
涙を流し首を横に振り拒否しているが、それは行為を拒否しているのか、イキたくてしているのか分からなかった。
媚薬の効果が更に強くなり快楽に対する欲望が、姿を露にした為だ。
何度かの突き上げの後、自分の理性は何処かへと消え失せ、快楽に貪欲な感情だけが頭角を現し我慢していた声が、たがを外したように口から漏れ出る。
「あっ……アァ……はぁ…もぅ…イキ……ンッ」
「ダメだよ。私が君の中で一度イクまでは…ね。」
もう、この時の自分は、ただイク事だけを考え、必死に腰を動かし亨が速くイクように誘う。
それから幾度かの突き上げの後、彼は短い呻き声と共に自分の中へ大量の体液を放出した。
しかし、彼の雄々しく猛ったものは衰えを殆どみせず未だに自分の中に留まり更に突き上げようとする。
快楽の頂きから降りる事しか頭にない自分は涙を流しながら首を振り乞うような目で彼を見た。
「イカせて……はぁ……ハァ―イキたい…お願い…外し―…」
「良いね、その、快楽に溺れきった表情(かお)。とても綺麗だ。
良いよ、外してあげる。君のイク顔を見たいしね。」
にこにこしながら亨は勢いよく縛っていた紐を取る。
その衝撃だけで自分のものは、これ幸いと白濁した液を余す事なく放出した。勢いよく飛び散った大量の体液は自分の体や顔に落ち、自分は己の体液まみれになった。
「ハァ……ハァ…ハッ」
一気に放出した為か突き上げられた為か自分は息遣い荒く、ぼーっと亨の顔を見ていた。
緊縛され、あんなに出したのにも関わらず自分のものは猛ったまま、体も熱く火照ったままだ。
もう、自分の頭の中は快楽の事だけ……。
そんな自分が取った行動は誰もが予想した事だった。
「もっと……。」
「もっと、なんだい?」
「イキたい……イカせて……。」
自分は、ただ自分の欲望を満たしたいがばかりに亨に懇願した。
亨はニタニタと満足そうな笑顔を向け再び腰を動かし、自分の体に幾つもの刻印を残していく。
それを繰り返していると倉庫の外が騒がしくなった。
勿論、この時の自分には全く聞こえもしていないのだが……。
亨には聞こえている。彼は自分の中からズルッと自身のものを出すと近くにあったティッシュで、それを拭いズボンを正して、そこから立ち去った。
その場に一人きりになった自分は快楽を与えてくれる人間が、居なくなった事が不満で手首に繋がった鎖を忙しなくガシャンガシャンと鳴らし続けた。
誰かが此処に来るまで、ずっと……。