短編集
□風紀委員に近付くな
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青山と一緒にいるのも半ば当たり前になってきた頃、俺に新たな悩みの種が舞い込んだ。
「あっ」
「あー?」
真面目そうな奴が俺の前に立ち声を掛けてきたから普通に言葉を返したはずなのに、こいつはビクッと体を震わせる。
別に取って喰うわけじゃねーのに……。
だいち、こんな奴ボコったって憂さ晴らしにすらならねー。
「あのっ、遠藤君。廊下で3年生が呼んでるよ」
鼻から抜けるような声を出して指差し伝えるそいつに俺は何も言わず俺を呼んでるという奴の方を見た。
青山とは、また違った好青年風な男。
見たことない奴。
俺は知らないのに向こうは、こっちを知ってるらしい。凄い目で睨み付けてる。
また、因縁とか付けられんのか?
そんなことを思いながら溜め息を吐きながら近付くと、行き成り胸ぐらを掴まれた。
「テメッ!!」
「二度と徹に近付くなっ!!」
文句を言おうとした俺を遮り男は怒鳴った。
クラスはおろか廊下を歩く奴等までが俺らを見る。
俺は男の手を払うと更に睨み付けた。
「近付くな?俺が近付いてるとでも思ってんのか?
生憎だな、あいつの方から近付いてんだよっ!!気に入らねーならテメェでどうにかしやがれっ!!」
キレた俺は、そのまま教室を出て屋上へと向かった。