記念もの
□側にいたい
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「お前は、どうしようもない阿呆だな」
そう言って助ける素振りをみせてくれれば救いようがあるのに……こいつは……――。
「さっさと片付けろよ、カス」
フーっとタバコの煙まで吹き付けてその場を見てるだけ……。
俺は、咳き込みながら顔面を吹き付ける煙を払い退け
「あんたに優しさっていう言葉はないのか!!」
と叫ぶ。
すると、尚隆は立った体制を崩さぬまま俺を見下す。
「仕事の邪魔にしかならないお前を社長に頼まれたからとはいえ引き受けたんだ。充分、優しいだろう。それともガキをあやすように手取り足取り世話してほしいのか?」
「このままで…良い」
「賢明な判断だな。それから、目上の人間には、もっと丁寧な言葉使いをしろ、ガキ」
嫌味そのものな物言いなのに何故か、それが正しい気がして俺は、それ以上の言葉を紡げない。
結局、尚隆が正しいんだ……よな。
こんな嫌味な奴なのに仕事はトップの実力で他の奴なんて足元にも及ばない。いや、足元どころじゃない。天と地ほどの差がある。
性格は、ワースト1だけど。
教育だってスパルタだけど、かなり力が付いた気もする。逃げ出すという選択肢のない俺だから頑張れた気もするけど。普通だったら辞める。
割りに合わない。
それに、俺が社長の息子だからって胡麻を擦る事もしないし……。
嫌味な奴だけど、こいつといる方が一番、落ち着く。
んっ?
一番?