記念もの

□楽園という名の君
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いつもと変わらない風景なのに好きな奴がいるだけで違うように見えるから不思議だ。






楽園という名の君







「銀ちゃん、酢コンブがなくなったアル。」

「お前ねー……。此処に好いた同士の男と女が2人っきりなんだぞー。もっとマシな会話があんだろ?」


「腹減った!!」

「色気ねーな。」



色気より食い気の神楽に、それを求めたのが間違いだったと、俺は後頭部を掻きながら深く息を吐く。

そして、
「待ってろ」
と、ソファーに座るように言った俺は台所に行き冷凍庫から専用の容器に入った氷とガラスの器、かき氷機等を持って戻ってきた。




「クソ暑くて外に出る気もなれねーから代わりに、かき氷を作ってやる。」

「銀ちゃんが、優しいアル。明日、雨、降るネ」


この世の終わりとばかりに驚く神楽に引き攣った笑顔を向ける。




こいつ、俺の女だって自覚あんのか?


不意に、そんな言葉が頭を過るが、それを敢えて言葉にしないのは男の意地みたいなもんだ。




 
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