短編集
□風紀委員からは逃げられない
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俺は、最近、憂鬱な朝を迎えている。
それは、朝が辛いとかいうわけじゃなく、学校の校門にあった。
その日も俺は、明らかに学校に間に合わない時間に起きて急ぐわけでもなく、ゆっくりした足取りで学校に行っていた。
身長は175と平均的だが、髪がアメリカ人と日本人のクォーターで隔世遺伝か、見事なまでに金髪で癖っ毛のせいか態とセットしたようにツンツンしていた。おまけに目付きまで悪いときた。我ながら、ここまでくると態とにしか思えない。
それが仇で学校側は俺を勝手に不良扱い。
生徒側からは喧嘩を売られ、ありもしない噂ばかりが走り回り俺は、孤立していた。
そんな生活を小学生の後半からしていれば真面目な人間だって諦めて不良になってしまえとも思うだろ。
少なくとも俺は、そうだった。
今では、孤立している事に何の不満もないし、逆に満足してるところもある。
そんな事を考えながら、たいして授業にも出ない学校に着いたのは8時20分。とっくにHRが始まっている時間。
けど、俺は急ぐ素振りなんて全く見せず、悠々と歩いていた。
どうせ、教室に居ても妙な空気が漂って居心地が悪い。
「遠藤君。君、また遅刻ですよ」
「んぁ?」
穏やかな声のする方を見やるとブレザーの制服を完璧とまでに着こなし眼鏡の効果で真面目に見える男がボードとペンを持って立っていた。
クールラッシュの目にナチュラルボブ。俺は、その男を何処かで見た事がある気がした。
全然、覚えてねーけど……。
「君、人の話を聞いてます?」
「…………」
呆れた目で見る男にムカついて俺は、無視を決め込み、そのまま玄関へと歩きだす。