短編

□河童の幻想大旗折
1ページ/3ページ

昨日一日中不利続いた霧雨の匂いがまだ空気に残る中、私はのんびり空を飛んでいた。

「今日は良い天気だぜ。」

本当に良い天気だ。嵐の次の日は良く晴れるって言うが、雨の日も例外じゃないらしいな。
そんな日和の中、私はある場所に向かっていた。

「そろそろか……?」

暫くすると、目的の場所が見えてきた。私は一度高く飛び上がり、そこから目的の場所まで急降下する。そして衝突寸前に後方に箒と一緒に飛び退き、新月面宙返りを決めて着地する。

「ふっ、十点満点だぜ。」

そして目的の場所―――――――友人の住居を扉を叩く。

―――――――コン、コン。


「……?」


―――――――コン、コン。


……へんじが ない。 ただの どあ のようだ。

「って違う違う。」

一瞬変な電波を受信しちまったけど、細かい事は気にしちゃダメだ。うん。

「いないのか?」

試しに扉に手を掛けると、鍵はかかっていなかった。

「無用心だな、泥棒に入られても知らないぜ?」



◆◆◆

「お前が言うなぁ!」

「!!?」

「あ、あぁ、ごめんね上海。びっくりした?」

「……シャンハーイ」

◆◆◆

「ん?なんか聞こえた気が……気のせいか?」

まぁいいかと思って、私は家の中へ入った。


***


「……なんだ、いるじゃないか。」

この家の主は中に入ってからすぐに見つかった。こっちに背を向けて何か弄くってる。
私はそいつにそ〜っと近づいて、思いっきり驚かせてやった。

「ぅわぁっ!!!」









「ひゅい!!!???」





「HAHAHA、相変わらず変な驚き方だな。」

「う……なんだ魔理沙か。脅かさないでよ……。」

言って、そいつは振り返る。河童のにとりだ。

「まったく……妖怪を驚かせようなんて考えるとは、危険な盟友だね。いつか痛い目を見る前に止めときなよ?」

「この魔理沙様を舐めてもらっちゃ困るぜ……っと。何やってんだ?」

にとりの手元を見ると、何かの道具が握られていた。

「あぁコレ?そこで拾ったんだ。」

「拾い物かよ。ばっちいから捨てる事をお勧めするぜ。」

「これをすてるなんてとんでもない!この曲線部分の加工にしろ、内部の高密度な部品の数々も幻想郷じゃ絶対見られない……、これは外の世界の河童が高度な化学の発展と成長を遂げた末に生み出された凄い道具に違いないよ!」

「じゃあ聞くが、その外の世界の河童が高度な化学の発展と成長を遂げた末に生み出された凄い道具は、どうやって使うんだ?」

「う……そ、それは……分かんないけど。と、とにかく凄いんだよ!」

「やれやれだぜ……。」

そこまで言って、ある事を思い出した。

「そういえば、香霖も似たような道具を一杯持ってたな……。」



そう言った瞬間、にとりの気配が変わった。



「……何だって?」

普段のにとりからは想像も出来ないような低い声で言葉が放たれた。怖い、怖すぎるぜにとり。コイツといいパチュリーといい香霖といい、趣味人っていうのは皆趣味が絡むと豹変するのかそうなのか。

「え……だから香霖が同じような道具を持ってたってぇ……!」

『持って』あたりでにとりがいきなり私を押し倒した。その所為で変な声が出ちゃったじゃないか。

「魔理沙……」

「な、なんだ……よ……?」

にとりは私の目を見つめたまま動かない。気のせいかさっきよりも息が荒い。

今の状況。
1、上ににとり、下は床。
2、にとりの目がヤバイ。尋常じゃないぐらいにマジ。
3、息が荒く、肩で息してる。
4、にとりは私を押し倒してる。

この条件から導き出される結末は?










結論、『にとり:ご馳走様でした☆』







うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!?

ヤバイヤバイヤバイぞ私!?貞操の危機!

「魔理沙……」

「だ、ダメだぜにとり!わ、私の初めては、香霖に……」



「何でもっと早く教えてくれないのさ。」


「だ、だからお前の気持ちには答えられな――――――ゑ?」




「その香霖って奴のいる場所に行こう!」



「………………」



あぁ、忘れてたぜ。

コイツも香霖と同じ種類の奴だった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ