真田連載

□プレゼントで攻めよ
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丸井の提案、それは



「じゃあ俺のタイプを特別に教えてやるぜ」



レギュラー皆の“理想のタイプ”を総合して、“誰にでもモテる完璧な女の子”を作り上げようというものだった。



誰にでもモテる=真田も落とせる、というのが丸井の考えらしい。

でもって作り上げる、というからには私がその“理想”を吸収して“完璧な女の子”にならなくてはいけないようだ。


…たかだか7人の好みを総合しただけで“完璧”になるとは到底思えないのは私だけじゃないはず。現に柳は「安直な考えだな」と言っていた。

でも悔しながら幸村の言うとおりにちっぽけな私の脳では、これ以上の案は出て来なかった。

もはや藁にも縋る思いというか、真田のお嫁さんになれるならこの際どんな作戦でも仕方ない。甘んじて乗ろう。




そんなわけで、私の願望を叶える為、昨日のメンバーは昼休みを利用して会議室に集合してくれていた。


ちなみに今日は言い出しっぺの丸井のタイプかららしい。教壇に丸井が上り、私たちはそれぞれ適当な席につき彼の話に耳を傾けていた。


「俺はなー…」

「うん」

「モノをくれるヤツがタイプだな」

「…モノ?」

「漠然としとるのう」

「くれるなら誰でもいいんスか?」

「んなわけねーだろぃ」



赤也が聞くと丸井は細かい理想を語り出した。

毎日お菓子作ってくれるとか、無理だと思うのは私だけかな。

ていうか…モノをくれる…うーん、丸井らしいというか、なんていうか。




「ということは綾はまず真田に何かあげることがワンステップ目になるのかな」



後ろの席から私の頭をわさわさ撫でながら幸村が言う。

昨日から何なのこの部長さんは。
いいや、無視しよう。



「何か…弦一郎が喜ぶ物か。難しいな」



柳が言うとみんなもうーん、と考え込み始める。

…なんだかんだでいい人たちではあるよね、うん。



「やっぱり手作り菓子だろぃ」

「お前さんが食べたいだけじゃろ」

「とーぜん」



「…そういえばこないだ木彫りの熊が欲しいとか言ってたナリ」

「仁王先輩の言う事はアテにならないっス」

「…プリッ」



「んー、真田の趣味って何だっけ?」

「将棋だな」

「じゃあ初心者向けの将棋の本とか」

「……精市」

「あはは、ごめんごめん。ちょっと真田の反応が見たくなって、つい」




…やっぱり真面目に考える気ないね。

真田の反応が見たくなってって…それなら私を使わず自分でやってください。あと赤也の言う通り仁王の言葉は信用ならないから却下。丸井も言わずもがな却下。




「リストバンドとかどうっスか?」




私が皆に頼んだ事をひとり後悔していると、赤也がハイ!と元気に手を挙げながら提案した。その案に全員が顔を見合わせる。

リストバンド…




「いいんじゃね?」

「実用的な物じゃから誰が相手でも喜ばれる確率は高いのう」

「ふむ、それに価格的にも相手の負担にならないしな」

「赤也にしてはいい案じゃないか」

「な、なんスか幸村部長!俺にしてはって!」

「そのままの意味だよ、ふふっ」



幸村の言葉はともかくとして、仁王や柳の意見を聞く限りハズれる事はなさそうだ。




…うん、コレに決めてしまおう。


私が「リストバンドにする」と頷くと、早速柳がオススメのお店と真田の好きな色を教えてくれた。





渡すのは明日の昼休み。


果たしてこれが好印象に繋がるのかはさて置き、今はただ真田が受け取ってくれる事を願うしかない。
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