庭球の部室
□捨て猫と蜜柑 〜3〜
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また生意気な笑い方しちゃって。
“彼”は、僕が意識を取り戻して、
すぐさま部屋に入ってきた。
“早いなぁ。
君はエスパーか何かかい?”
空気がかすれるのを感じてハッとする。
……空気だけしか出ていない…?
「俺のケータイ貸すんでどぞ」
投げつけられた文明の利器を、
片手で反射的にとる。
“ありがとう”
また口で言ってしまったことに
気付いたけれど。
彼が曖昧に笑ってうなずいている所を見ると
伝わったみたい。
きっと感謝の笑顔は万国共通に違いない。
と、僕が脈絡もへったくれもないことを
考えてるうちに、
“彼”がポケットを探りだした。